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震災で4元連立方程式化した財政問題

財政・社会保障改革の手を緩めるな

2011年4月1日(金)

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戦後最大の危機:4元連立方程式をどう解くか

 日本は今、間違いなく、戦後最大の危機に直面している。しかも、(1)財政・社会保障改革、(2)震災復興、(3)原発問題・電力不足問題、(4)衆参ねじれ現象という4元連立方程式だ。この複雑な4つの方程式を同時に解かねばならない。

 まずは、(1)財政・社会保障である。急速な少子高齢化の進展に伴い、日本の財政は悪化を続けている。公債残高は対GDPで200%に達しつつある。この背後には、毎年約1兆円のスピードで膨張する社会保障予算(年金・医療・介護)と恒久化している財政赤字の存在がある。財政破綻リスクを低下させ、世代間格差の改善を図るためには、財政・社会保障改革が喫緊の課題であることはいうまでもない(関連記事)。

 次に、このような状況において、(2)2011年3月11日、東日本大震災が発生した。この大震災の被害を被った主な3県(岩手県・宮城県・福島県)だけで、日本全体GDPの4%を占める。一部被害を受けた茨城県や青森県をこの3県に加えると、1995年の阪神・淡路大震災で被害を受けた兵庫県の直接被害総額、約10兆円を超えるのは明らかである。

 実際、直接被害総額の試算には一定の限界があるものの、内閣府は16兆円から25兆円との推計を公表している。同様に、ゴールドマンサックス証券は16兆円、バークレイズ・キャピタルは15兆円超、野村証券金融経済研究所は約13兆円、林敏彦・同志社大学大学院教授は10兆円から20兆円と推計している。

 また、今回は死亡者数もけたはずれである。警察庁の公表によると、東日本大震災による死亡者数は現在(3月28日10時)約1万人、行方不明者は約1万7000人。阪神・淡路大震災の約6000人を超える。今の勢いでは死亡者数が2万人に達する可能性も高い。

 被害総額10兆円の阪神・淡路大震災では、被災者向けの住宅整備や社会基盤の復旧などのために3回の補正予算を組み、合計約3.2兆円の復興費を支出した。上述の通り、今回は被災総額は16兆円~25兆円であるから、10兆円超の復興対策が必要との声が多い。

 さらに、東日本大震災によって発生した(3)福島原発への対応は一進一退の攻防を繰り広げている。放射能リスクを勘案し、現在、福島原発から20キロ以上30キロ圏内は自主避難となっている。原発付近では微量であるが毒性の強いプルトニウムも検出されている。今後は原発周辺の一定地域が立ち入り禁止区域となる可能性があるとの指摘もある。また、日経ビジネスオンラインの記事「東電を待つ次なる危機」によると、もし原発危機を脱却できても、東電は廃炉や損害賠償で1兆円超の負担を被る可能性がある。東電が経営危機に陥れば、負担の一部が国民に跳ね返ってくるリスクがある。

 さらに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、1日3時間の計画停電を1カ月間続けた場合、GDPの1%に当たる経済損失が発生すると試算している。仮に計画停電による経済の低迷が長引けば、税収の低下という形で財政を直撃するリスクも存在する。

 以上の情勢の下、予算関連法案の大部分が「つなぎ法案」などの形で暫定的に成立した。これらの法案は与野党の政治的駆け引きの中心であったが、震災を契機に野党が協力姿勢に転じた。しかし、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案――予算関連法案の根幹――については、依然として成立の目途が立っていない。与野党の折り合いがついていない状態だ。この対立の背景には、(4)衆参のねじれ現象があることは間違いない。

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「震災で4元連立方程式化した財政問題」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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