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リビア空爆、オバマ大統領の「苦しいバランス」

理想と現実の間で揺れる中東民主化支援のジレンマ

  • 渡部 恒雄

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2011年4月14日(木)

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 3月19日、米国、英国、フランスなどの多国籍軍が、リビア反政府軍に空爆を加えているカダフィー政権軍の部隊と施設に、戦闘機と巡航ミサイルによる空爆を行った。カダフィー政権軍に対し、飛行禁止区域を設定することが目的である。

 アフガニスタンでの難航する軍事作戦という重荷を背負いながら、オバマ政権がリビアへの軍事作戦に舵を切ったのはなぜなのか。米国人はどのように受け止めているのか。中東全体への影響はどうなるのか。このあたりを考えてみたい。

譲れないケースでは、自らが行動する

 3月28日、オバマ大統領はリビアへの米国の立場について、全米に向けテレビ演説を行った。演説の中で、オバマ大統領は、「米国はこれまでの歴史の中で、世界の安全保障の最後の砦であり、人間の自由を守るユニークな役割を果たしてきた」として、米国が世界に自由と人権を守る理想主義的な姿勢を示した。

 しかし同時に、自らの軍事行動のコストとリスクを指摘し、「米国は世界の多くの問題の解決に対して直接行動することには慎重にならざるを得ない」という現実的な要素も述べた。とはいえ「米国の利益(interest)という現実主義と価値(value)という理想主義にとってどうしても譲れないケースでは、自らが行動する責任がある」とし、それがリビアで起こっていることだと述べた。

 軍事介入を決断する際、米国が理想主義と現実主義の狭間で揺れる、というのは、旧ユーゴ紛争やソマリアの内戦などで示された、お馴染みの構図である。そして、大統領の決断とそのタイミングについて、国内で批判にさらされるというのも同じだ。

 今回のオバマ演説に対して、野党の共和党からは3つの異なる立場が示された。第1の立場は、ビデオでオバマ大統領に反論演説をして原則的な反対の姿勢を示したランド・ポール上院議員らに代表される。

 彼は、昨年11月の中間選挙で茶会(ティーパーティー)運動からの大きな支持を受けて当選しており、自国政府の対外関与を嫌う孤立主義傾向を持つ「リバタリアン」と言われる立場にある。父のロン・ポール下院議員は、共和党ながらブッシュ前政権のイラク戦争への反対姿勢を貫いてきた人物である。

 ポール上院議員は、オバマ大統領が議会での議論や承認を経ないで軍事行動をしたことは憲法違反だと批判し、米国の海外への軍事介入には原則反対の立場を取る。この立場は内向き傾向を強めている米国の新しいトレンドを代表する意見であると同時に、歴史的には孤立主義の伝統の系譜を受け継いでいるとも言える。

確かに決断までには逡巡があった

 第2の立場は、人道上の軍事介入の必要性は認めながらも、オバマ政権のビジョンの弱さを指摘するグループで、これが共和党議会では主流派といえよう。

 例えば、共和党議会のリーダーであるベイナー下院議長は、軍事介入自体を批判することを避け、軍事作戦の戦略的目的や、カダフィー大統領を最終的にはどうするつもりなのか、というオバマ戦略の曖昧さを批判する姿勢を取っている。次の大統領選挙に意欲を見せているギングリッチ元下院議長も同じで、「計画なしに進められた機会便乗的なアマチュア的行為」と手厳しい。

 しかし両者とも軍事的な介入の必要性を原則として否定するわけではない。その点で、現実的ではあるが、批判の中に政治的な意図がかなりの程度入り込んでいると言える。

 第3の立場は、軍事介入の必要性をより重視するグループである。

 オバマ大統領と2008年の大統領選挙を戦ったマケイン上院議員は、「私はオバマ大統領のリビアでの強い軍事介入に賛成し、彼の軍事介入に必要な理由の説明に感謝する」と演説を称賛している。また、早い段階でオバマ政権の遅い介入を批判してきたリンゼー・グラハム上院議員は、軍事介入のコストの問題でオバマ政権を批判する共和党の同僚に対して、イラク戦争のときにはコストの問題を持ち出さなかったと批判し、積極的軍事介入を支持している。

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