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実用化した「3次元免震システム」

直下型の縦揺れに対応、震度7を3相当に軽減できる

2011年4月14日(木)

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 2011年2月、世界で初めて、横揺れだけでなく、縦揺れの地震にも対応する「3次元免震装置システム」を搭載した共同住宅「知粋館」が東京都杉並区阿佐ヶ谷に完成した。設計、開発に当たったのは、構造計画研究所、藤田隆史東京大学名誉教授、清水建設、カヤバシステムマシナリーによる産学連携のプロジェクトチームだ。

 奇しくも竣工間もない3月11日に発生した東日本大震災では、3次元免震装置システムによって、横揺れ、縦揺れともに2分の1以下に軽減されていたことが、データで実証された。

 三陸沖を震源地とする東日本大震災は、地震の揺れに加え、津波による被害が甚大だった。一方、南関東地方でも、今後30年以内に70%の確率で首都直下型の大地震が起きると予想されており、この地域の住民にとって不安は尽きない。原子力発電所に対する地震対策についても、早急の強化が求められている。

 特に直下型の地震に対して力を発揮するとして、日本のみならず、世界各国が強い関心を寄せている建物がある。2011年2月、東京都杉並区阿佐ヶ谷に完成した共同住宅「知粋館」だ。

 開発したのは、構造計画研究所、藤田隆史東京大学名誉教授、清水建設、カヤバシステムマシナリーの産学連携による「阿佐ヶ谷プロジェクト」チームである。住宅名は、構造設計を担当し、プロジェクトリーダー役を務めた構造計画研究所が、「社内外の“知”を結集し、技術の“粋(すい)”を集めたプロジェクトの結晶」という思いを込めて命名した。

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 構造計画研究所は、六本木ヒルズの構造設計・監理を担当するなど構造設計に関して50年の歴史を持つ。特に、地震発生時の建物への影響を長年にわたって分析し、対策方法を提案してきた。

 知粋館には8戸分の住宅が入っており、一見すると、小ぶりな3階建てのデザイナーズマンションといった趣だ。しかし、この建物には、横揺れと縦揺れの両方に対応する世界初の「3次元免震装置システム」が設置されている。

 ちなみに、免震とは、地震の力を建物本体に伝わりにくくして破壊から守ることで、耐震とは、地震の力を受けても壊れないように対応することを指す。

 完成時には、国際原子力学会協議会のメンバーを中心に、2月22日に直下型大地震に見舞われたばかりのニュージーランドをはじめ、台湾やトルコ、スペインなど地震への不安を抱える多くの国や地域の関係者が見学に訪れた。

地面の縦揺れに応じて上下に伸び縮みする

 既にビルやマンションなどに設置されている従来型の免震装置を最初に考案、開発したのはニュージーランドの企業だ。ただし、そのほとんどは横揺れにしか対応していない2次元免震装置だ。

 そのため、例えば、企業や公共機関の電子計算機センターなどでは、縦揺れを軽減するため、フロアーごとに、必要に応じて、「空気バネ」と呼ばれる機構を設置している。しかし、これでは、導入費用がかさむ上、場所も取る。

 それに対し、今回、阿佐ヶ谷プロジェクトチームが開発した免震装置は、従来の2次元免震装置に、この改良した空気バネを組み込むことで、3次元免震を実現させている。これならば、フロアーごとに空気バネを設置する必要がなく、免震装置を地面と建物の間の1カ所に集約できる。

 「3次元免震装置については、これまで、原子力発電所への適用を前提に、清水建設などが研究開発を進めてきた。しかし、まずは、共同住宅や戸建など比較的規模の小さな建物で実績を積み、より大規模な建造物へ展開していこうということになった。知粋館はその第1弾になった」

 阿佐ヶ谷プロジェクトのリーダーで、構造計画研究所・構造設計部の高橋治部長は世界初の試みをこう話す。

コメント3件コメント/レビュー

 やはりコストがネックでしょう。一基1000万円を、低減して200万円にできたとして、個人の住宅に、採用されるでしょうか。なかなか難しいと思われます。(electron_P)(2011/04/16)

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「実用化した「3次元免震システム」」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 やはりコストがネックでしょう。一基1000万円を、低減して200万円にできたとして、個人の住宅に、採用されるでしょうか。なかなか難しいと思われます。(electron_P)(2011/04/16)

いくらシステムが優れていても、肝心の体躯の強度にもしっかりと目を向けてください。システムへの過度の依存が何を生むか…。 安心安全に絶対は無い。(2011/04/15)

液状化が起きたら直ぐに傾きそうだ。埋め立て地じゃない、岩盤の強い所でなきゃ意味無い。(2011/04/14)

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