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そして「核融合」は実験炉を着々建設中

未来エネルギーは2040年の実用化目指す

  • 松村 伸二(日経ビジネス記者)

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2011年4月20日(水)

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 「地上の太陽」などと呼ばれ、世界のエネルギー問題を最終的に解決できると期待されるようになって久しいのが「核融合」反応による発電計画だ。いまだに夢の技術のように受け止める人は多いかもしれないが、実現に向けた計画は着実に進んでいる。

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 フランス南部のカダラッシュという町で昨年8月に実験炉の建設が始まった「国際熱核融合実験炉(ITER、イーター)プロジェクト」がそれだ。ITER国際核融合エネルギー機構の初代機構長を昨年まで務めた池田要氏(現リモート・センシング技術センター常務理事)に、現在の工事の進捗状況や実現に向けた展望などを聞いた。

 その前に、基本知識を押さえておこう。

 核融合とは、水素のような軽い原子核をぶつけ合うことで、ヘリウムといった重い原子核に変化する現象だ。これまでの原子力発電の仕組みである核分裂と違い、融合の動きが仮に止まってもその後の反応は暴走することがなく、放射能リスクも非常に限られるという。

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 核融合反応時に膨大なエネルギーを持って飛び出した中性子が炉壁にぶつかる際に出す熱を利用して発電する仕組みが熱核融合発電だ。燃料になるトリチウム(三重水素)1グラムから、タンクローリー1台分(約8トン)の石油と同じエネルギーを得ることが可能だという。

 核融合反応を作り出すには、原子核と電子がばらばらになった状態の「プラズマ」を高温で炉内に閉じ込める必要がある。この際、高温にするために投入するエネルギー量と、核融合反応によって新たに生まれるエネルギー量が等しくなる条件である「臨界プラズマ」は1996年に日本の実験装置で達成済みだ。今後のITER計画では、投入量の10倍のエネルギー生成が目標となる。欧州連合(EU)や日本、ロシア、米国、中国、韓国、インドが参加し、2019年の施設完成と実験開始を予定。2040年ごろの発電実用化を目指す。

(以下、聞き手は松村 伸二=日経ビジネス記者)

30年くらい後にはデモプラントが動いているだろう

―― 熱核融合の実現が視野に入ってきました。

池田 要(いけだ・かなめ)
リモート・センシング技術センター常務理事。1946年1月1日生まれ。68年 東京大学工学部原子力工学科卒業、科学技術庁に入庁。96年原子力安全局長、98年研究開発局長、2000年科学審議官。2001年宇宙開発事業団理事。2003年駐クロアチア大使。2005年11月から2010年7月までITER機構長。11年4月から現職。

 池田 フランスのカダラッシュにあるITER(国際熱核融合実験炉)のサイトでは、建屋などの建設が昨年の夏から始まっている。実験炉に使う一番大きな超伝導コイルは現地でしか組み立てができないから、サイトの中に組立工場も作っている。大きさはテニスコートが何面も入るようなものだ。

 実験炉の中心のところに当たる地面を20メートルほど掘り下げる工事もどんどん進んでいる。この地面はほとんど石灰岩で、非常に硬い岩盤なので、ダイナマイトで粉砕しながら掘り下げている。

―― ITERの初代機構長としてどんな苦労がありましたか。

 2005年の秋に指名され、06年春に正式に着任した。その後は、ITERを実際に作るための協定に基づいた国際的な組織作りと具体的なスケジュールの策定に奔走した。実際にどういう手順でやればいつまでにできるか、というのをしこたま詰めた作業が去年の夏まで続いた格好だ。

―― 試験運転などこれからのスケジュールの進み方を教えてください。

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 2008年の夏に各国がITERのスペックについて、改めて合意した場面があった。その際に、機構長の立場として10年後の2018年に完成するよう提案した。これに対し、各国それぞれが実現の可能性をギリギリまで詰めた。翌2019年には、ファーストプラズマ(最初のプラズマ生成による実験開始)を実現する見込みだ。そこから6~7年かけて、2026年ごろに燃料のトリチウムを燃やして試運転を始める。投入エネルギーの10倍のエネルギーを実際に出す段階だ。

 それまでに、超伝導施設などもみんな出来上がって、原子力施設としての用件を整える。放射性物質のトリチウムを扱うための設備も作らなくてはならない。次のデモプラントをどこにどうやって作るのかという議論も煮詰まっているだろう。今から30年くらい後には、実際にデモプラントが動いているだろう。そんなに遠くない話だ。

―― 建設作業は各国でどのように分担するのですか。

 各国は単に資金を負担するのではない。「物納」するところが最大の特徴の1つだ。完成した施設の価値のデリバリーに対する分担率が決まっている。EUが45%、日本などほかの国は9%ずつだ。物納の世界だから、それぞれにコストは違うところがこの協力の1つの面白さだ。日本は超伝導コイルの導線など、非常に重要な部分を担う。東芝や日立電線など重電メーカーが参画している。

 ITER計画について、単に科学技術分野の協力という側面で語る人がいるが、私からするとプラント建設そのものだ。出力50万キロワットのプラントを作るという世界的な約束を実現するという事業なのだ。

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