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危機管理に確率や可能性は関係ない!

ハーバード流危機管理の要諦2

2011年4月21日(木)

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 日本における震災後の議論を見て、日本人はまだまだ危機管理とリスク管理を混同していると思う。危機管理に、確率や可能性などは関係ないのだ。とにかく、最悪の事態は起こる! そう想定して、逆算して準備していくことが危機管理なのだ。

 災害は起こる。事故は起こる。故障も不具合も起こるのだ。人間はミスをする。理論通りに物事は進まない。時間がたつにつれ、組織も本来の目的を忘れていく。こられは当たり前のことなのだ。どんなに技術が進もうが、より実践的な教育を施そうが、優れたリーダーを選ぼうが、組織を改造しようが、災害も事故も起こり続けるのだ。

 最悪を想定することは不謹慎でも何でもない。何を責めても、誰を責めても仕方がないのだ。神風や幸運を期待する議論だけでは、自分の身を守ることさえできない。

 日本人は、最悪の事態に目をつむってしまう傾向があるのではないか? 最悪の事態を想定することを“悲観的だ”と考えてしまっているのではなかろうか? 実は逆だ。「悲観的なって準備をして、楽観的に行動する」のが危機管理の哲学だ。悲観的になって最悪の事態を想定して準備をしておくからこそ、いざという時に楽観的に行動できる。

 逆に、楽観的にしか準備していないと、事が起こってからどんどん悲観的にならざるを得なくなってしまう。最悪の事態を想定していないので、対応するための装備も技量も、組織もお金もないからだ。事前に楽観的であることに、全く意味はない。むしろマイナスだ。

 確率や可能性を議論するのは、あくまでもリスク管理の世界の話だ。危機管理は「最悪の事態は起こる」と想定するところから取り掛かる。この点が全く違う。

通常の危機と新種の危機

 さて、最悪の事態を想定するにしても、大事なのは「危機の性質」だ。最新の危機管理では危機を二つに分ける

1 通常の危機:routine crisis
2 新種の危機:novel crisis

 である。

 今日の危機管理の分野で、研究者たちが最も困難と見なす分野、かつ集中的に研究しているのが2の「新種の危機」だ。

 「通常の危機」と「新種の危機」との違いは、規模や深刻さではない。通常の危機が、必ずしも被害額が小さかったり、被害者数が少なかったりするわけではない。主に予見可能性で分けるのだ。

 火災や台風や交通事故のように、ある一定の割合で起こる事故は、パターンが決まっているものが大きい。時期や原因、場所も特定しやすい。危機がどのような特徴を持っているか、どのようなステップで進展していくかも把握しやすい。通常の危機は、それらの特性を見極め、逆算して準備し訓練しておくことが大事だ。対策のための装備を充実させ、訓練しておけば、たいていの事態には対応できる。

 一方、やっかいなのが「新種の危機」である。一定の割合で必ず起こる危機と、百年に一度しか起こらない危機とは異なる。まして、千年に一度しか起こらない危機、それらが複合的に重なる危機とは異なる。

 今回の日本の地震・津波・原発事故・風評被害・電力不足の5重災害は、「新種の危機」の代表例である。一つひとつが「新種の危機」に当たる。その上、それらが5つも重なったために「超・新種の危機:super-novelty」と呼ばれている。

 時期も、場所も、被害の進展具合も、予見することが難しい。逆算して対応することが困難なのだ。そのため、組織を準備することも、訓練を実施することも、予算を確保することも簡単ではない。発生後も、予期しない事態が連続して起こる。組織は混乱し、対策チームは対応ができない。予算を確保していないので装備も不足する。

プロほど「新種の危機」に対応できない

 「新種の危機」への対応では、危機管理の専門家のほうが、素人よりも苦労する場合が多い。「通常の危機」に対応するために訓練されている者ほど「新種の危機」に対応できない傾向がある。ここはプロと仕事をする時に気をつけるべきポイントだ。

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「危機管理に確率や可能性は関係ない!」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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