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“震災緩和”が歓迎される理由

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2011年4月25日(月)

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被災地では、復興を妨げる様々な規制があぶり出されている。行政は一時的特例措置として規制緩和に動くが、期間は限定。規制緩和を起爆剤にするくらいの復興プランが求められる。

 東日本大震災の爪痕はあまりにも大きく、復興の道も険しい。復興にかかる費用の財源について、政府は「復興税」の導入など増税も含めた検討を進めている。しかし、財政的なバックアップだけでは早期の復興は難しい。復興を妨げる様々な法規制の緩和・撤廃を求める声が高まっている。

 「過去の遺産が大事だという思いはあるが、今生きている人とどちらが大切なのか。その折り合いは実に難しい」(宮城県企画総務課)。宮城県は4月8日に210項目にわたる「東日本大震災に対処するための特別立法等を求める要望書」を菅直人首相宛に出した。要望書の中には、国庫支出金交付の要請のほか、規制緩和を求める要望が並ぶ。

 例えば、文部科学省に要請した「特別名勝松島の現状変更の弾力的な運用」では、丘陵部への建物の新築許可を求めた。景観を守る目的で、文化財保護法が規制している現状の変更について緩和を要求したわけだ。

 被災者からは津波の被害を受けた海岸沿いに住みたくないという要望が出ている。だが、その要望を聞こうにも、松島保存管理計画によって一部の高台などのエリアで新築が認められていない。

 文化庁では現在、「被災状況を実地で確認し、今後の対策を練っている状況」(文化庁文化財部記念物課名勝部門文化財調査官の中島義晴氏)という。

復興妨げる規制の山

 経済活動の復興においても、数多くの規制が立ちはだかる。

 今回の震災では、津波によって多くの企業の工場が致命的な被害を受けた。新たな用地を確保して工場の建て直しを模索している企業も少なくない。しかし現行の法制度では土地利用には工業用、商業用など厳しい用途規制がある。

 村井嘉浩・宮城県知事は「規制を緩和して柔軟な土地開発ができるようにしないと、工場建設の用地を確保できないだろう」と指摘する。

 東北地方の主要産業である農業や水産業の復興にも規制の壁が立ちふさがっている。

 両産業の復興を進めるには、民間企業の力を生かすことが不可欠だ。村井・宮城県知事は、「農業法人の設立や水産業の集約による株式会社化などにも厳しい規制がある。民間の活力を得るためにも、政府は速やかにこうした規制の緩和・撤廃を進めてほしい」とも訴える。

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 もちろん、政府も一部では規制を緩和している。例えば、震災発生後に相次いで特例措置を連発する厚生労働省は4月18日までに、省内の関係部署や自治体に対して300を超える通知を出した。被災地での外国人医師による医療行為を認めたり、病院間での医薬品や医療機器の融通を認めたりした。

 ただし、これらはあくまでも期間限定の措置。病院間での医薬品などの融通に関する措置を担当する厚生労働省医薬食品局総務課の藤岡俊太郎技官は、「今回の規制緩和は現地の要望を受けた一時的なもの。具体的な期間を区切っていないが、医療環境が正常に戻れば当然、元に戻す」と言う。

 だが、復興に向けた一時的な「特別措置」として政府が進めている規制の緩和・撤廃は果たして、短期的な措置にとどまっていいものか。被災地を元の状態に戻すことだけではなく、その中長期的な復興を見据えた場合、規制の恒久的な緩和は十分に起爆剤になり得る。今ほど、政治主導の真価が問われている場面もない。

日経ビジネス 2011年4月25日号12ページより

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