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震災復興は財政再建の言い訳にはならない

長期金利が低いのは市場が再建を期待しているから

2011年5月2日(月)

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長期金利が低下する謎

 長期金利(国債利回り)は、基本的に成長率と似た動きをする(図表1)。しかし、長期金利と成長率には若干のズレがあるから、それ以外の要因も関係している可能性が高い。

 一般的に、長期金利は、(1)短期金利の動向をはじめ、(2)潜在成長率や物価上昇率の期待、(3)国債のリスクプレミアム、(4)その他の要因(例:海外金利との裁定)を総合的に勘案して決まるはずである。

 このうち、財政との関係で重要な要因は、(3)の国債のリスクプレミアムである。急激に少子高齢化が進む日本の公的債務(対GDP)は今や約200%で、先進国において最悪である。さらに、IMF(国際通貨基金)は2016年には約250%に達すると予測している。

 OECDデータによると、通常、財政が悪化する場合、長期金利は上昇する傾向が確認できる(図表2)。しかし、日本の長期金利は、公的債務(対GDP)の増加にもかかわらず、低下してきた。この理由は何であろうか。

 内閣府(2010)「平成22年度 年次経済財政報告」によると、日本の長期金利が低い要因は、短期金利・物価上昇率の低さやGDPの低迷であると説明している。図表3によると、1980年代から2000年代にかけて、長期金利は低下している。それと同時に、短期金利や物価上昇率の要因が低下し、GDPの要因も低下している。

 また、国内での議論では、「日本の長期金利が低い理由は、財政危機に陥ったギリシャ国債と異なり、日本国債は95%が国内で消化されているから」という説明もある。これについては、上記の内閣府(2010)が分析をしており、国債の国内保有比率と長期金利の関係は不明確であると指摘している。むしろ、図表3で注目に値するのは、財政収支の要因は1980年代から拡大した点だ。日本でも財政の悪化が、長期金利を押上げる要因として働いてきたという視点である。

将来の財政規律が「期待」できれば国債のリスクプレミアムは上がらない

 しかし、財政収支要因は、大幅に上昇しているわけではない。国債のリスクプレミアムは、財政収支の悪化に敏感に反映するわけではないことを意味する。この点を理解するには、市場が抱く「財政規律の見通し」が重要な鍵を握る。

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「震災復興は財政再建の言い訳にはならない」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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