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防災のため、2位じゃダメなんです?

次世代スパコン活用で、地震や津波を高精度に再現

2011年5月10日(火)

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 現在、2012年の完成を目指し、次世代スーパーコンピューターの開発が、計算科学研究機構で進められている。それを最大限に活用するためのソフトウエア開発の分野として、文部科学省が5分野を設定。産官学を挙げた国家プロジェクトが、2011年度より5カ年計画で、本格実施されていく。

 5分野の中で、「防災・減災に資する地球変動予測」に関するプロジェクトを推進しているのが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)だ。同プロジェクトでは、台風、集中豪雨、地震、津波の4つをターゲットに、自然災害に強い都市づくりを目指し、ソフトウエアの研究開発を推進している。

 2009年11月に実施された事業仕分けの際に、「2位じゃダメなんでしょうか」という蓮舫大臣の発言で一躍有名になった次世代スーパーコンピューター。

 現在、2012年の完成を目指し、次世代スーパーコンピューターそのものと、それを最大限に活用するためのソフトウエアの開発が、神戸ポートアイランドの計算科学研究機構で進められている。

 次世代スーパーコンピューターが完成すれば、現時点で日本最速のスーパーコンピューターの82倍の速度に匹敵する、1秒間に1京回、すなわち10の16乗(1兆の1万倍)回の計算ができるようになる。そのため、科学技術のさらなる発展に寄与するとして、各分野から大きな期待が寄せられている。

 現在、文部科学省の次世代スーパーコンピューター戦略委員会が、社会的、学術的に大きなブレークスルーが期待できる「戦略分野」として、「予測する生命科学・医療及び創薬基盤」「新物質・エネルギー創成」「防災・減災に資する地球変動予測」「次世代ものづくり」「物質と宇宙の起源と構造」の5分野を設定しており、産官学を挙げた国家プロジェクトが、2011年度より5カ年計画で、本格実施されていく。

地球規模の実験・検証は難しい

 この5分野の中で、「防災・減災に資する地球変動予測に関するプロジェクト」を推進しているのが、海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)である。JAMSTECのほかにも、東京大学の大気海洋研究所、地震研究所、大学院情報学環、気象庁気象研究所、東北大学などが協力組織として加わり、ソフトウエアの研究開発を進めている。

JAMSTEC地球情報研究センターの今脇資郎センター長

 同分野の目的は、「台風」、「集中豪雨」、「地震」、「津波」という4つの自然災害に的を絞り、これらがもたらす被害に対し、大規模シミュレーションを行うことで、地球変動を予測し、防災や減災に結びつけることだ。

 現在、同分野では、研究開発課題を大きく「気象・気候・環境予測」と「地震・津波の予測精度の高度化」の2つに分けて、同時並行的にプロジェクトを進めている。

 JAMSTECの地球情報研究センター、今脇資郎センター長はプロジェクトの意義をこう説明する。

 「次世代スーパーコンピューターを使って、これら4つの自然災害をシミュレーションする理由は、スケールが地球規模で非常に大きく、実験による検証が難しいため。これまでも、地球シミュレータと呼ばれるスーパーコンピューターを使って大規模シミュレーションをしてきたが、より高速かつ高精度で地球変動を予測するには、次世代スーパーコンピューターが不可欠だ」。

「気象・気候・環境予測」

 「気象・気候・環境予測」では、台風と集中豪雨の2つに関する高精度かつ高解像度の気象予報システムを構築し、次世代スーパーコンピューターに搭載していく計画だ。

 地球温暖化が進めば、海面の温度が上昇する。そのため、海面で発達する台風は、今後、大型化していくと予想されている。

 そこで、同プロジェクトでは、地球温暖化による台風の動向を、地球規模で予測するため、「全球雲解像モデル(NICAM)」と呼ばれる数理モデルを使い、次世代スーパーコンピューターで、シミュレーションしようとしている。

 NICAMは、JAMSTECと東京大学の気候システム研究センターが共同開発したもので、雲が発生して台風に発達していく様子を、海面の温度などの情報を使って再現したり予測したりできる。

コメント21件コメント/レビュー

スパコンで計算が高速化されるのは事実ですが、精度が向上するのは大きな間違いです。「ニューヨークで蝶が羽ばたくと、北京で大嵐が起こる」と言う言葉が示す様に、自然界の現象は非線形な現象です。初期状態の非常に小さな変化が最終的な結果を大きく変えてしまいます。そのため、どれだけ高性能なマシンを持ってきても、高精度な予測など不可能なわけです。ただ、この様な非線形減少は、非常に近い時間の予測は可能であるので、津波の発生など分野を考えて、利用していく必要があると考えます。(2011/05/14)

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「防災のため、2位じゃダメなんです?」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

スパコンで計算が高速化されるのは事実ですが、精度が向上するのは大きな間違いです。「ニューヨークで蝶が羽ばたくと、北京で大嵐が起こる」と言う言葉が示す様に、自然界の現象は非線形な現象です。初期状態の非常に小さな変化が最終的な結果を大きく変えてしまいます。そのため、どれだけ高性能なマシンを持ってきても、高精度な予測など不可能なわけです。ただ、この様な非線形減少は、非常に近い時間の予測は可能であるので、津波の発生など分野を考えて、利用していく必要があると考えます。(2011/05/14)

simulationを自分で利用したことのある技術者なら直ぐに解ることであるが、super computerの性能によって正しいことが判明発見されることは無く、事実の後追い説明が精密にできるだけである。理由は計算モデルの正しさに人知の限界があるからである。計算結果は計算モデル次第であり、自然現象を精密に表すモデルは非常に複雑になる。事実を説明するため、推定範囲を事実で検証された範囲に限り、モデルに修正パラメータを多数含めないと自然現象の精密なsimulationはできない。モデルに変化の必要無いケースでは SPEED?の様な精度で十分役に立つ。課題は人間による計算モデルであり、計算速度ではない。地球温暖化simulationもモデル次第で如何様な結果でも出せる。(2011/05/12)

以前の私のコメント内容にひどい間違いがあったので,訂正させてください。もし文章の訂正ができない場合は,削除したほうがよいと考えています。具体的にはスパコンの値段の桁を2つ間違えていました。次期スパコンの価格:10兆円(誤)→1000億円(正)SX-9フルシステム:3兆円(誤)→3000億円(正)従いまして,以前のコメントにあった最後のオチは誤りです。もし修正できるのであれば,以下のように変更したいと思います。地球シミュレータESの衝撃は今でもよく覚えています。費用対効果という観点からは満点とはいえませんが,当時世界最速の座を2年間も守ったのは驚異的でした。2位じゃダメなんですか?というどこかで聞いた煽り文句ですが,あのときの蓮舫氏の真意は「2位の性能が複数台有れば1位が1台よりも有効」ということだと思います。しかし現在理化学研究所が進めている次期スパコンは,ESのプラットフォームではないのでソフトが流用できません。おまけに10PFLOPSの速度が世界最速かどうかも怪しくなっています。2006年にNECがES後継機のSX-9を発表した時点で導入していれば,その時点でまた世界最速が取れて,ソフトも流用できたのに。それを見送った上にNECを切り捨てた次期スパコンプロジェクトは批判されて当然だと思います。(2011/05/12)

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