「時事深層」

シャープ、液晶事業が正念場

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2011年5月12日(木)

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シャープの液晶パネル工場が事実上の生産調整に陥っている。ソニーが約束していた工場への追加出資も先送りになった。屋台骨が揺らげば、業績への悪影響は避けられない。

 シャープが4月上旬から、テレビ用の液晶パネルを作る亀山工場(三重県亀山市)と堺工場(堺市)の稼働を停止している。取引先の工業用ガス工場が東日本大震災で被災したことが原因。再稼働は5月の連休明けになる見通しだ。

 液晶パネルの製造は、シャープの屋台骨を支える中核事業。だが、同社に、一刻も早く稼働再開を目指そうという焦りは見られない。

 主力生産拠点が生産停止に陥りながら冷静なのは、震災後の自粛ムードで液晶テレビの国内販売が落ち込んでいるからだ。パネルの在庫が積み上がっており、すぐに稼働を再開したところで、結局、生産調整することにもなりかねない。

 確かに震災で液晶テレビの売り上げは落ち込んだが、それは一時的なもの。調査会社BCNの道越一郎アナリストは、「デジタル家電の消費マインドは回復している」と言う。BCNの調査によると、震災があった週に、薄型テレビの国内販売台数は前年同期と比べて18%、翌週は25%減少したものの、3週目には前年並みに戻った。

 市場の落ち込みがわずかであるにもかかわらず、在庫が膨れたのは、シャープが液晶テレビの売り上げの約6割を国内市場に依存しているからだ。大半を海外で販売するパナソニックやソニーに比べて国内依存度が高い。

 亀山工場などで作っている液晶パネルの大半は、自社の液晶テレビ用。このため、国内のテレビ市場が少しでも冷え込むと、パネルの減産も余儀なくされる。


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著者プロフィール

吉野 次郎(よしの・じろう)

日経ビジネス記者。1期生として慶応義塾大学環境情報学部を卒業。1996年に日経BPに入社し、通信業界の専門誌「日経コミュニケーション」で2001年までNTTと新電電の競争や業界再編成を取材。2007年まで通信と放送の専門誌「日経ニューメディア」で、通信と放送の融合やデジタル化をテーマに放送業界を取材。現在は「日経ビジネス」で電機やIT(情報技術)業界をカバーする。好きな季節は真夏。暑ければ暑いほどよい。お腹の出っ張りが気になる年齢にさしかかり、ダイエット中。間もなく大型バイク免許を取得する予定。著書に『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』(日経BP)。



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