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東電のKDDI株 住商が触手

2011年5月30日(月)

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原発巨額賠償のため、東電は6000億円の資産売却を急ぐ。目玉のKDDI株売却先に住友商事が浮上している。だがKDDIにとっては素直に喜べない株主だ。

 「債務超過に陥る具体的な時期は分からないが、今のスキームで賠償金の仮払いを始めると大変厳しい状況になる」。東京電力は5月20日、1兆2473億円の最終赤字を計上する2011年3月期連結決算を発表。記者会見で清水正孝社長は危機感を隠さなかった。

 数兆円とも言われる損害賠償や原子力発電所の廃炉費、原発停止で増える火力発電の燃料費。債務超過が現実問題として迫る東電は、一刻も早く政府の公的支援スキームを引き出したいところ。その代償として求められる資産売却には積極的にならざるを得ない。

 「6000億円以上を見込む」(清水社長)という資産売却の柱が、東電が保有する時価1743億円のKDDI株である。「経済産業省の強い斡旋で、住友商事がKDDI株取得に意欲を示している」(関係者)という。

 東電は1985年の通信自由化直後に東京通信ネットワーク(TTNet)を設立し、通信事業に参入した。送電網の監視用に張り巡らされた光ファイバーを使って9電力会社が全国ネットワークを構築する構想だったが、柏崎刈羽原発のトラブルなどを契機に、東電は通信事業からの撤退を決意する。

 2007年1月、NTTに対抗して光回線網の整備を急いでいたKDDIが東電の光通信事業を買収。約1000億円相当の買収資金の対価として、KDDIは自社株の7.9%を東電に割り当て東電は京セラ、トヨタ自動車に次ぐKDDIの第3位株主となった。

JCOM買収合戦の遺恨

 実は、通信事業を巡る東電と住商のつき合いは長い。TTNetは1998年に「東京電話」のブランドで市内通話に参入するが、大株主の日産自動車が経営危機に陥ると、代わりに持ち株を買い取ったのが住商だ。東電からすれば、今回は「恩人」にさらにカネを無心しに行った格好になる。

 KDDI株取得は住商にとって悪い話ではない。同社は、宮原賢次社長(現名誉顧問)時代の98年に情報通信部門を創設。通信事業を柱とする同部門は、現在では売上総利益で25%近くを占める有力部門に育っている。KDDIの第3位株主になることで、通信事業をさらに拡大させることができる。

 KDDIも約8%もの株式が浮遊する事態を一刻も早く解消したい。だが相手が住商となると話は別だ。両社は、昨年1月の「ジュピターテレコム(JCOM)買収合戦」のわだかまりが解けていないからだ。

 KDDIが3617億円を投じて米投資会社リバティから国内ケーブルテレビ最大手、JCOMの株式37.8%全量を買い取ると発表したのが昨年1月。27.7%(当時)を保有していた住商はこれに対抗し、40%を上限とするJCOM株のTOB(株式公開買い付け)を実施する。

 KDDIの買収に関しては金融庁が33.3%以上の株式取得にはTOBを義務づける金融商品取引法に抵触すると指摘。KDDIは仕方なく超過分を売却、さらに数%分を管理信託にして持ち分を31.1%まで引き下げ、議決権を放棄したのだ。

 両社は表面上手打ちし、互いにJCOMに役員を派遣しているが、ポスト争いなどでつばぜり合いは続いている。こうした状況で住商が第3位株主となれば、KDDIはウエルカムとは言いがたいだろう。

 足元の携帯電話事業では加入者シェアで3位のソフトバンクにじりじり詰め寄られ、好調とは言えないKDDI。資本構成が激動すれば、業界再編につながりかねない。原発問題は通信業界にも波紋を広げている。

日経ビジネス 2011年5月30日号12ページより

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「東電のKDDI株 住商が触手」の著者

小板橋太郎

小板橋太郎(こいたばし・たろう)

前日経ビジネス編集委員兼副編集長

1991年立教大学文学部史学科卒、日本経済新聞社入社。整理部、社会部、産業部などを経て2011年から日経ビジネス編集委員。現在は日本経済新聞社企画報道部デスク

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長