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漁師がサラリーマンになってなぜ悪い

【番外編】漁業復興を阻む漁協の責任

  • 樫原 弘志

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2011年6月8日(水)

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 漁業への新規参入はそれが一時的なものであろうと、極めて難しい。地元に住む漁業者の権利が制度として優先されているため、調整がこじれがちだ。国も自治体も紛争のタネになりがちな参入問題を前向きに考えようとはしない。

 大震災と津波で漁業の生産基盤が壊滅的な被害を受け、知事が民間資本も参入できる水産業復興特区を作りたいと提唱している宮城県でも最近こんなことがあった。

カタクチイワシが足りない

 「もし、特例での操業を許可してもらえるなら、定置網にかわって自分たちでカタクチイワシをとって、カツオ漁船に提供したい」

 宮城県農林水産部に相談を持ちかけたのは、カツオ一本釣り漁船のエサを扱っている宮城県石巻市の問屋の主人、大山静夫さんである。

 例年6月になると、カツオの漁場が房総沖から北上を始める。高知、宮崎など全国からカツオ一本釣り漁船が三陸沖の漁場に集結、気仙沼漁港で水揚げする。

 漁船は再び出漁する前に、撒き餌として使う生きたカタクチイワシを積み込む。大山さんら5人ほどの同業者が地元宮城県や岩手県の定置網業者から買い付け、一本釣り漁船に供給してきた。

 しかし、今年、三陸沿岸でそのカタクチイワシが十分に手当てできそうもない。カタクチイワシを生け捕りにし、大山さんらに供給してくれていた80余りの小型定置網のほとんどが3月の津波で流された。ごく一部はまもなく復旧できそうだが、大半は秋以降にずれ込みそう。今年の三陸沖カツオ漁は、エサの確保が大きな課題になっているのだ。

 震災後、心配するカツオ漁船の船主や漁労長から大山さんのもとに問い合わせが殺到した。全国60隻余りのカツオ一本釣り漁船が加盟している全国近海かつお・まぐろ漁業協会(本部東京)も4月末以降、水産庁や関係自治体、魚市場の関係者を集めて繰り返し対策を協議している。

 気仙沼での一本釣り漁船のカツオ水揚げ量は年2万トンから4万トン、金額で100億円を突破する年もある。マグロやサンマよりも大きな看板商品だ。積み込むエサの量も2000~3000トン、金額換算すると10億円前後にもなる。地味で目立たないものの、カタクチイワシの供給は重要なビジネスであり、気仙沼魚市場の復興にも響く。

枠がないので、許可のしようがない

 「自分たちでとるしかない」

 エサ供給者としての責任感から大山さんらは宮城県内のエサ業者5人は決心し、カツオ船主の紹介で、九州で売りに出された中型まき網漁船を見つけた。

 買い取り費用は1億円以上。津波で家も事務所も失った被災者だが、仲間でカネを出し合い、足りない分は借金すればなんとかなる。乗組員は三陸の海の事情に詳しい地元で探し、とにかく夏のカツオシーズンに間に合わせる。そんな計画を立て、県域操業の漁船の許可権を持つ、宮城県に相談を持ちかけた。

 しかし、案の定というべきか、県の水産行政担当者は首をタテにふらない。

 「許可できる隻数は水産庁が決めている。しかし、宮城県には水産庁から枠が割り振られていないので、許可のしようがない」(県水産業振興課)というのが理由である。

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