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北方領土と日露戦争を知らないロシア人

ロシアより愛をこめてその1

2011年6月9日(木)

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 久しぶりにロシアへ行った。今回はロシアに拠点を持つアメリカの金融機関の招待だ。アメリカ、欧州、南米からヘッジファンド、プライベートバンク、年金運用機関、大口の個人投資家などがモスクワに招かれた。私もその中の一人だった。

モスクワのインテリも北方領土や日露戦争を知らない

 ロシアを代表する企業経営者、政治家、政府高官、第三者的に状況を見ている国際機関の方々と、モスクワで集中的にお会いして思ったことが3つある。第1は、ロシア人には日本のファンが多いということ。日本の製品、ファッション、技術、食を愛する人々に今回も数多く出会った。

 第2は、北方領土問題は彼らには知られていないということだ。モスクワは地域的には欧州に属す。遠い極東ロシアのことはあまり意識していない。かなりの知識層でも知らないことが多い。「日本とさらに友好的になれるなら、その島どころかアムール川以東を渡してもいいじゃないか」という事業家までいた。

 最後に、ロシアの優れた理科系教育は健在で、ロシアは技術の宝庫であるということ。ただ、その技術を最終製品にする力は日本の方がはるかに優れていると思う。なので、日本企業にとってロシアの基礎技術とその人材は魅力的だ。

 一方、驚いたのは日露戦争を知る人がモスクワで少なかったこと。「日本とロシアが一対一で戦争したことがあったの? それは第二次大戦のことじゃないの?」とよく言われた。モスクワやサンクトペテルブルグを舞台にした戦争と違い、極東で行われた戦争についてモスクワでの実感は乏しいのだろうか?

 外交では相手の立場に立つことが大事。日本にいると、「ロシア人は北方領土問題で強硬な怖い人たち」というイメージを持つ。だが、実際には、日本が大好きで北方領土問題など眼中にない人たちがけっこういる。こういうことは、実際に足を運んで、地元の人々と交流するまで分からなかった。ロシアの人々の日本への好意を日本がどう生かすべきか! これからもしっかり考えたい!

大量に流入する中国人に恐れを抱く

 モスクワへ着いてびっくりしたのはシェレメーチエヴォ国際空港の美しさだ。最新のデザインと機能性を取り入れていた。トイレは清潔だし、ガラス張りで多くの太陽光を導き入れていた。アメリカを出発するときに使った、ニューヨークの古びたJFK空港を思い出すと、アメリカとロシア、どちらが新興国か分からなくなった。

シェレメーチエヴォ国際空港の美しさに驚いた

 これはロシアだけではない。上海でも北京でもそうだ。新興国は最近、自国の表玄関をその資金力で見事に整備している。お金がなくてインフラの更新ができないアメリカの方が、空港も高速鉄道も高速道路も古くなっている。

 パスポートコントロールは相変わらず愛想が悪かった。驚いたのは、中国人に対する嫌がらせに近い行為だ。パスポート検査の長さが異常だった。パスポートを、ルーペで意味なくのぞいたり、何度もページをめくったり。挙句の果てには中国人旅行者を放っておいて隣の検査官とおしゃべりを始める者もいた。話しかけられた検査官も中国人旅行者を検査中なので、両方の中国人を待たせる。もちろん、中国人は我慢の限界に達して何か言い出す。ロシア人検査官は、それでも無表情で歯牙にもかけない。1人7分以上はかけて検査していた。

 幸い私は列の2番目だったので、待つこと10分で検査官のところへ。ところが痺れを切らした中国人旅行者が列に割り込もうとする。なんとかそれを遮って、検査官のところへ。日本のパスポートだと扱いが違う。なんと1分もかからず、あっさり入国できた。

コメント6件コメント/レビュー

予想されたこととはいえ、ロシア国内で北方領土問題が知られていないことはあらためて驚かされます。小生などは北方領土問題の解決の糸口さえ見つけられないために、経済協力はロシアが有利なだけだと思ってしまいます。しかし北方領土問題を多くのロシア人が知らないのであれば、純粋にお互いの経済発展のために日本と連携しようと思っているだけということになり、腹の内に秘めたズルさは一欠けらもないのでしょう。むしろ北方領土のようにロシア中心から遥か遠く、統治困難な地域を大事にするより、経済的に発展できるならさっさと手放してもいいと願うロシア国民もいるかもしれません。こうした考えのできる人がロシアの国家元首になればいいなあ、というのは適わぬ夢でしょうね、きっと。(2011/06/14)

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「北方領土と日露戦争を知らないロシア人」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

予想されたこととはいえ、ロシア国内で北方領土問題が知られていないことはあらためて驚かされます。小生などは北方領土問題の解決の糸口さえ見つけられないために、経済協力はロシアが有利なだけだと思ってしまいます。しかし北方領土問題を多くのロシア人が知らないのであれば、純粋にお互いの経済発展のために日本と連携しようと思っているだけということになり、腹の内に秘めたズルさは一欠けらもないのでしょう。むしろ北方領土のようにロシア中心から遥か遠く、統治困難な地域を大事にするより、経済的に発展できるならさっさと手放してもいいと願うロシア国民もいるかもしれません。こうした考えのできる人がロシアの国家元首になればいいなあ、というのは適わぬ夢でしょうね、きっと。(2011/06/14)

 「ロシア人の大半が日露戦争も北方領土も知らない」という話は、日本人のどれだけが日露戦争と北方領土に関する正確な知識を持っているかを考えれば、さもありなんと頷ける話です。(2011/06/13)

田村様の記事でロシアの現状を少し理解できました。北方領土や日露戦争を知らないのは、ロシア革命と悪名高いスターリン主義時代を経て過去を葬り去ったせいでしょうか?(2011/06/09)

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