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人の心情につけ入るビジネス

「顧客ニーズをつかむ」の延長線上に詐欺がある

2011年6月10日(金)

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 ある商法に騙されてしまいました。その企業への怒りよりも自分のバカさ加減に自己嫌悪しています。告発する勇気もないのにその企業への恨みばかりがつのります。どうすれば?(20代女性)

 遙から

 基本的にリピーターを想定しないビジネスの場合、詐欺まがいの商法と出会うのはめずらしくない。「オレオレ詐欺」に象徴される騙しの巧妙なテクニックに、それが仮に高齢者ではなくても引っかかり、引っかかった事実にさえ気づかず帰ることもある。

 私の体験は、すでにニュースにもなった分野の、ペット葬儀会社でのことだった。

 その領域には悪徳業者が参入していることへの懸念から、インターネットでの検索をやめ、懇意の動物病院に紹介してもらうことにした。

 紹介された葬儀屋をネットで見ると、葬儀から納骨まで立派な祭壇が整えられた施設だった。私はそこにお願いすることにした。

 オレオレ詐欺が「孫だから」と思い込んだら最後、すべての不審シグナルに目をつぶって突き進むように、「信用できる病院の紹介だから」と思ったら最後、私もまたその後の不審シグナルを「たまたまだろう」と無視して前に進むことになった。

 不審その1、ネットでは24時間電話受付とあるが、日中しか通じなかった。

 まず、ここで「?」と立ち止まるべきだが、たまたま今日は出れない状況だったのだろう、と、そのシグナルを見逃した。

 不審その2、「お迎えにあがります」とあるが、お帰りはご自身で、という不親切さに立ち止まるべきだったが、「仕方がない」と見逃した。

 不審その3、豪奢な施設の広告とは違い、雑居ビルの狭く汚れた数フロアを不審に思うべきだったが、「ここまで来たので」と施設に入った。

 そして、巧妙さは料金のことで露わになる。

 不審その4、料金表はセット料金で2コース。安いコースは「葬儀・個別火葬・合同納骨もしくは持ち帰り・供養」とある。高いコースは「葬儀・個別火葬・骨上げ・納骨もしくは持ち帰り・供養」だ。違いは“骨上げ”の有無のみだ。

 簡単にいうと、個別には焼くがそのどんな証拠も見られないコースか、ちゃんと骨になるところまで見届けられるコースか、という飼い主には大きな違いがある。

 ニュース沙汰になった、火葬せず捨てられることへの懸念から、火葬場を見たいと願ったが拒絶された。証拠確認は“骨上げ”コースを選択するしかないそうだ。

 骨上げコースを選ぶと、いよいよ詐欺まがいが牙を剥いた。

 「では、そのコースの場合、合同納骨だと6000円追加、個別納骨だと1万円追加になります」

 ここで客は一瞬思考が停止する。

 冷静になり質問する。

 「納骨はセット料金に含まれてますよね」
 「はい。その納骨を選ばれたら、次に合同か個別かで別料金になります」
 「セット料金なのに、なぜ、別料金?」

 ここから脅しが始まる。

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「人の心情につけ入るビジネス」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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