• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

バイリンガルやマルチリンガルは子供の教育にいいのか?悪いのか?

5言語を学ぶ欧州の谷からの報告

  • 河合 江理子

バックナンバー

2011年6月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 前回のコラム 「外資といえども日本IBMは顧客のおかげで国際化した」では読者の方からいろいろなコメントをいただいた。そのうちの1つを紹介させていただく。「グローバルな社内分業体制によって、社員のパソコンのトラブルには中国のヘルプデスクが日本語で対応し、その資産管理は欧州で行い、社員の交通費の精算や暮れの年末調整も中国でやっていることなどを同社勤務の友人に聞いたことがあります。今後は、IBM社にとどまらず国境を越えて英語によるコミュニケーションが益々重要となることが予見される話だったと思います」。

 実際コストを抑えるために、日本IBMでは交通費の清算や年末調整などの業務まで、アウトソーシングが進んでいることに驚かされた。 これは世界的な競争にさらされている日本の企業の将来図ではないかと思う。多分コストだけでなく、その地域の従業員の質も業務が集約されるため高度になってきており、日本企業の間でこのような動きは進むと思われる。

 コストの安い海外で生産できるものを生産するのはあたり前になってきているが、すでに日本語の壁で守られていたコールセンターなどまでも海外に移動され、日本人はあらゆる面で海外の人々と賃金競争にさらされる厳しい状況を再認識したコメントであった。 

 さて、今回は英語公用語化を話すうえで必ず出てくる議論の1つである「母語以外の言葉を学習すると母語が完全にマスターできず、それによって論理能力なども充分に育たない」「英語の早期学習は日本語能力や論理性などの育成を阻害してしまう」などの点について考えてみたい。いろいろな意見があるので本当はどうなのだろうかと考えている方も多いのではないだろうか。

 日本では、今年から小学校の5年生、6年生で英語の授業が開始されたが、英語に授業時間をとられてしまい日本語の能力が充分に育たないという理由で早期の英語学習に反対する意見を聞く。この問題について言語学ではどのような研究結果があるのだろうか? 言語政策を研究している京都大学・高等教育研究開発推進機構の塚原信行准教授に大変興味ある話をお聞きしたのでご紹介したい。

 塚原さんは京都大学でスペイン語を教えているが、社会言語学を専門分野としており、スペイン国内の少数言語地域であるカタルーニャを研究対象としている。この地方のピレネー山中にあるアラン谷と呼ばれる地域での言語教育について実際にフィールド調査をしている。スペインとフランスの国境にあるアラン谷では、アラン語という言語が話されている。アラン語は谷という外部から離れた地形のため消滅せずに残ったのかもしれない。加えて、彼らはスペイン語、カタルーニャ語(スペインのカタルーニャ地方を中心に話されている言語)を話し、フランス語や英語を話す人も多い。

アラン谷の住人は1万人強であるが、アラン谷に住む小学生はユニークな言語教育のおかげで5言語が話せるようになっている

 そこではどのような教育をしているのだろうか? アラン谷の幼稚園ではアラン語、スペイン語、カタルーニャ語を学ぶ。 スペイン語もカタルーニャ語もアラン語も、すべてロマンス諸語と言われる、ラテン語から派生した言語であり、この3言語の間では、形態や統語といった要素が似通っている。小学校にはいると、8歳頃にフランス語を学び始めるが、フランス語の授業だけでなく、フランス語で図画工作などを学ぶ。10歳ぐらいになると英語の授業が始まるが、やはり英語で体育などが教えられる。

コメント37件コメント/レビュー

 親の仕事の都合で都合12年以上欧州に住みましたが、私と6歳年下の弟では、日本語と英語の習得に大きな違いがありました。 10歳から23歳まで在欧し、大学院まで卒業した私の英語は発音は明らかな日本訛りが残るものの、語彙においては現地大学院卒と同等となり、日本語についても言い回しが昭和50年代で止まってしまった事を除けば問題ありませんでした。 4歳から18歳まで在欧し、大学入学とともに帰国した弟の場合、英語の発音はほぼ完ぺきなアメリカン(アメリカンスクールに通ったため)で、語彙も高卒以上のレベルと年齢相応でしたが、日本語については小学校高学年の時に深刻な漢字力不足に陥り、家族総出の補習と日本人学校への中学卒業までの通学でリカバリーしました。 完全な外国語環境への移住を考えているのであれば、小学校高学年までは日本でしっかりと基礎を築き、移住後も自宅では日本語のみとするなで母国語のケアをしっかりとしておかないとセミリンガルの危険性が大きくなります。(2011/06/20)

「英語の公用語化って何?」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 親の仕事の都合で都合12年以上欧州に住みましたが、私と6歳年下の弟では、日本語と英語の習得に大きな違いがありました。 10歳から23歳まで在欧し、大学院まで卒業した私の英語は発音は明らかな日本訛りが残るものの、語彙においては現地大学院卒と同等となり、日本語についても言い回しが昭和50年代で止まってしまった事を除けば問題ありませんでした。 4歳から18歳まで在欧し、大学入学とともに帰国した弟の場合、英語の発音はほぼ完ぺきなアメリカン(アメリカンスクールに通ったため)で、語彙も高卒以上のレベルと年齢相応でしたが、日本語については小学校高学年の時に深刻な漢字力不足に陥り、家族総出の補習と日本人学校への中学卒業までの通学でリカバリーしました。 完全な外国語環境への移住を考えているのであれば、小学校高学年までは日本でしっかりと基礎を築き、移住後も自宅では日本語のみとするなで母国語のケアをしっかりとしておかないとセミリンガルの危険性が大きくなります。(2011/06/20)

この時代に英語の実利を疑う方がいるのには愕然とします。今はごく普通の会社員が「来月○○国へ行け」と辞令を受ける時代です。大多数の国では言葉が通じない場合、英語を使います。海外に飛ばされる会社員も苦労しますが、その奥さんも住居の手続、子どもの学校や医者通いその他すべてを自分(の英語)で何とかしなければならず、いきなり半人前になったように感じ、大きなストレスを受けています。●これまで在米日本人学童を対象とした数年スパンの調査によると、日本語を母国語とする児童がダブルリミテッドになる可能性が大きいのは、母国語が確立する前の6~9歳で英語環境に入り、日本語の学習継続が以前どおり続けられなくなった場合です。その場合、日本語はあやふやになり、英語も日常会話を問題なくこなしているように見えても作文させてみると実は文法が理解できていないことがわかります。●日本で英語を学習する児童は、インターナショナルスクール通学などの特殊ケースを覗き、どう転んでもダブルリミテッドにはなり得ません。住環境に日本語が溢れているからです。●10歳過ぎほどの年齢は、すでに母国語としての日本語がほぼ確立されており、まだ「ローマ字フィルターを通さず聞いた音を、恥ずかしがらずにオウム返しできる」貴重な年齢で、英語耳と英語発音を習得するのに適しています。●懸念されている問題は、記事にもあるとおり英語を教える教員に英語を教える適格性がないことです。ネイティブスピーカーのビデオをウェブなどで教材として利用できるようにし、英語教師は補助的な役割とすれば、本物の英語に触れられるだけでなく、英語教師も安堵のため息をつくでしょう。(2011/06/18)

基礎的学力をつけるために母国語、とはいいますが、それは、日本史や文学などではないのではないでしょうか。いっそ文学の勉強時間の半分を削ってディベートとか論理的思考の授業に当てたほうがいいのでは?日本語は論理的思考やディベート向きではないということはないですかね。(2011/06/17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

小池さんがこの言葉(排除)を述べたことで、「風」が変わっていきました。 ただし、小池さんが言ったことは正論です。

若狭 勝 前衆院議員