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「すごくやばい」は、ネガティブな意味?

古今東西で発生している「コトバの意味逆転」

2011年6月14日(火)

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 「ゆるい」という言葉に、みなさんはどんな印象をお持ちでしょうか?

 試しに広辞苑を調べてみると、(1)ゆるやかで、たるみや隙間がある。(2)勢いが弱い。(3)急速でない。(4)寛大である。(5)東北・北海道方言で、楽でない。(6)水分を含んでやわらかい。(7)勾配などがなだらかである、という説明が出てきます(注:語釈は筆者による要約)。このうち少なくとも2・3・5はネガティブな印象を載っています。

 ところが新語として登場した「ゆるい」は、場合によってはポジティブな価値判断を含むことがあります。

 例えば女性誌に登場する「ゆるカワイイ」は、髪型や服装などがふんわりとしていて、可愛らしい様子を指します。また「ゆるふわ」は、ふわっとした可愛らしさを表す言葉。「ゆるデコ」は、ゆるめの服を装飾的に着こなすファッションを意味します。

 女性誌以外の分野では「ゆるキャラ」が有名ではないでしょうか。イラストレーターみうらじゅん氏の造語で、町起こしなどのマスコットキャラクターを形容するのに使います。いずれの言葉も、「ゆるい」をポジティブな文脈で使用しています。

 どうやら最近の俗語表現の中には、従来からある意味を逆に解釈するものが存在するようです。例えば「やばい」のように「不都合」から「感動」に意味が変化する場合があります。また「はまる」のように、「計略に乗せられる」ことから「没頭する」ことに意味が変化する場合もあります(詳細は後述)。ここまで読んで「最近の日本語は乱れているなぁ」と思った人もいるかもしれません。

 では言葉の意味における「逆転現象」は、なぜ発生するのでしょうか。さらに言えば「逆転現象」は、現代の日本社会だけで起こる固有の現象なのでしょうか。今回の「社会を映し出すコトバたち」は、意味の逆転現象が起こった言葉を、可能な限り紹介します。そして意味の逆転が、実は「古今東西で普遍的に発生している」ことを示してみたいと思います。

やばいよ。すごいよ。鳥肌が立ったよ。

 近年に起こった最大級の逆転事例として、まず「やばい」を挙げるべきでしょう。広辞苑は「不都合である」「危険である」と説明しています。ところが最近では、「この新曲ヤバいよね」(=いいよね)などの肯定的な表現ができるようになりました。つまり「不都合」から「感動」へ、という意味の逆転が起こっています。

 「やばい」の肯定的意味は、若者世代から徐々に市民権を得始めたようです。例えば「現代用語の基礎知識」(自由国民社)は、2001年版の若者用語欄において、肯定的意味での「やばい」を初めて紹介しました。また文化庁の「平成16年度・国語に関する世論調査」(2005年発表)は、肯定的意味の「やばい」を使う人が全世代で18%、10代後半男性で76%、同女性で66%いたことを明らかにしています。デジタル大辞泉(小学館)のように、「やばい」の語釈に肯定的な意味を書き加えた辞書も登場しました。

 また「鳥肌が立つ」も、近年における最大級の逆転事例の一つです。例えば広辞苑は、「鳥肌が立つ」の意味について「寒さや恐怖・興奮などの強い刺激によって鳥肌が生ずる」という説明を載せています。ところが近年では「素晴らしい歌声に鳥肌が立った」という表現も可能になりました。つまり「恐怖」から「感動」へ、意味の逆転が起こっています。

 「鳥肌が立つ」の肯定的意味も、やはり若者世代から徐々に市民権を得ました。「平成13年度・国語に関する世論調査」(2002年発表)は、「鳥肌が立つ」の使用状況を問う面接調査を実施。肯定的表現を使う人が全世代で41%、10代後半で44%いたことが分かっています。広辞苑の第六版(2008年)は「近年、感動した場合にも用いる」という補説を加えました。

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「「すごくやばい」は、ネガティブな意味?」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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