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プーチン対メドベージェフはガチンコ勝負?!

ロシアより愛をこめて3

2011年6月22日(水)

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 今回のロシア訪問で再認識したのはプーチン首相とメドベージェフ大統領の対決が、想像以上に本気であるということ。来年の大統領選を目前に、2人の意見の相違が鮮明になりつつある。リビア制裁に前向きなメドベージェフ大統領と慎重なプーチン首相。厳しいコーポレートガバナンスをロシア企業に注入しようというメドベージェフ大統領と尻込みするプーチン首相。かつて、プーチン首相の操り人形と言われたメドベージェフ大統領だが、大統領選挙を控えて、プーチン首相との違いを今までより鮮明にし始めている。

プーチン首相はアジア型、メドベージェフ大統領はアメリカ型

 最も違うのは経済発展モデルについての見方だ。柔道をこよなく愛するプーチン首相はアジア型モデルの提唱者。国家が、育成すべき産業を選び、資源を投下して、経済発展を目指す国家主導モデルを目指す。資源も何もないのにアジア一豊かになったシンガポールのリークワンユー元首相の手腕を敬愛する。また最近では「韓国を目指せ」とも主張している。日本は、今のロシアがモデルにするには「発展しすぎ?」ということらしい。

 一方のメドベージェフ大統領はアメリカ型を志向している。できるだけ国家の関与を減らし、市場に任せるべきとの主張。国有企業の民営化をどんどん進め、同時にコーポレートガバナンスを徹底注入して、市場の力で経済の構造を変えていこうというものだ。

 レベダセンターというシンクタンクが今年5月に発表した世論調査結果によれば両者の支持率は67%で並んだ。2人とも下降気味だが、下降ペースはプーチン首相がやや激しい。ロシア政財界有力者は「この2人以外の第三者が来年の大統領レースに参加することは考えにくい」と口を揃える。

 既得権益層や治安部隊は圧倒的にプーチン首相を支持している。よって、メドベージェフ大統領も正面切ってのけんかはしないだろうとの見方が強い。しかし、ロシア政界は「殺るか殺されるか」の世界。メドベージェフ大統領は、選挙が終わるまではおとなしくしていても、再選後、プーチン首相に牙を剥くことも想定される。プーチン首相も、それを最も恐れていると言われる。この場合、プーチン首相が大統領選に出馬することが最大の対抗策になる、との声が少なくない。

 あるロシアの投資家は「ロシアのブランドを知っている人はいないが、ロシアの最高実力者(プーチン)の名前を知らない人は少ない。逆に日本の首相の名前を知っている人はいないが、日本のブランドを知らない人は世界にいない! そっち(日本)の方が断然いいよ! ほとんどの国民は日本をうらやましがっている」という。

 一方2人が一致しているのは経済の構造改革だ。アジア型かアメリカ型かは別として、製造業やサービス業を育てることによって、資源依存の経済から脱したいという思いは共通だ。プーチン首相とメドベージェフ大統領の対決がどうであれ、ロシアの経済は変わっていくのではないか。

ITなら、インド人よりロシア人

 アメリカの金融機関が仕切った今回のプログラムの最終日の朝は、ロシア最大の金融機関スベルバンクのアントン・カラムジン副会長との朝食会だった。ロシアで最大手の投資銀行トロイカを買収した経緯について聞く。トロイカの人材と顧客ベースを獲得して、ユニバーサルバンクを目指すという。ロシアの金融界では欧米の有力投資銀行の強さが目立つが、ロシア資本の金融機関も再編を契機に力をつけている。彼らが多様な金融サービスを個人・法人に施すことにより、ロシアの個人も法人も競争力をつけそうだ。

 続いてロシア版シリコンバレー計画、スコルコヴォ基金のアレクサンダー・ガラツキー氏から詳細を聞く。ナノ、バイオ、IT、宇宙開発、原子力の5分野で先進国の技術とコラボする国際ハブを目指す、メドベージェフ大統領の肝いりプロジェクトだ。日本の「ナノテク」に対する期待が大きいという。米シリコンバレーの有力企業もこの基金に多額の投資をしている。

 知的財産権、いわゆるIPの保護がカギだ。ガラツキー氏は「ロシアは、他の新興国よりはIP保護法の整備が進んでいる。欧米の有力弁護士の事務所も数多くモスクワにある。安心してほしい」と念を押した。

 ロシアの教育制度は早熟教育だ。ロシア人は16歳で高校を卒業し20歳で大学を卒業する。天才だと、10代で大学を卒業する。特に理科系教育は強い。ITや宇宙、バイオ、原子力関連におけるロシアの独創的な技術は評価が高い。高度の技術を必要とする宇宙開発も原子力も、ロシアは、西側の技術協力なしで独自に推し進めた。ノーベル賞やフィールズ賞(数学版ノーベル賞)の受賞者や、世的に成功している技術を見ればロシア生まれが多い。

 米シリコンバレーでは、「インド人が解決できないITの課題はロシア人に聞け」と言われている。ロシアのエンジニアは思考経路が違うという。

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「プーチン対メドベージェフはガチンコ勝負?!」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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