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このままでは日本沈没

雪崩的円安→国債暴落→金融破綻への導火線には火がついている

  • 竹中 正治

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2011年6月24日(金)

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 「国家は破綻する~金融危機の800年」(著者:カーメン・M・ラインハート&ケネス・S・ロゴフ、日経BP、2011年3月)という本が妙に売れている。

 「妙に売れている」という意味は、この本は超長期の過去にさかのぼった興味深い歴史金融データを提供しているのだが、どう見ても一般読者向けの本ではないのだ。608ページに及ぶ分厚さと4200円という高価格の設定自体が、売れる部数を期待していない「専門書」であることを示している。

「今回はこれまでとは違う」の愚かさ

 にもかかわらずアマゾン(amazon.co.jp)では「一般投資読み物」のジャンルで10位の売れ行きランクになっている(6月19日現在)。専門書としてはやや意外なほど好調な売れ行きだろう。2008年の欧米の金融危機と世界不況を経て、さらに日本では東日本大震災が加わり、膨張する財政赤字、累積する政府債務の先行きに対する不安感が世間一般に広がっているためだろう。

 欧州のPIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)の財政危機問題、とりわけギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)は現実の差し迫ったリスクとして語られている。既に日本国債は格下げされ、米国債の格付けも「安定的」から「ネガティブ(格下げ方向)」に見直されるなどの報道を受け、財政赤字膨張の先にどのような世界が到来するのかという不安が世間に広がっている。

 この本の英文原題“This Time Is Different”に込められた著者のメッセージは、近現代の歴史を通じて、政府も民間も債務の膨張に支えられたブームとその崩壊を繰り返してきたこと、それにもかかわらずブーム(あるいはバブル)の時期には「今回はこれまでとは違う」という現状を正当化する言説が毎度横行してきたことへの批判である。

 その意味で、政府債務のみでなく民間債務破綻も対象になっているのだが、今の時代の不安な雰囲気を敏感に感じ取った出版社は、日本語版のタイトルを「国家は破綻する」としたのだろう。このタイトルも売れている理由だろう。

「日本は違う」という根拠なき楽観

 この期に及んでも、「日本の貯蓄率は高く、政府の国債の約95%は国内の貯蓄でファイナンスされているので、日本はPIIGS諸国とは違う。その証拠に国債利回りは1%そこそこの低さを維持しているではないか」という主張が、少なくない政治家や一部の経済評論家から聞こえてくる。増税や給付の削減という厳しい課題に直面することを厭う政治家や有権者には、“Japan is Different”という甘いささやきだ。

 しかしながら、「日本の貯蓄率は高い」というのは過去の事実であって、今日では妥当しない。

 いずれの国においてもファイナンスの最終的な源泉は家計の貯蓄である。2010年の時点で各国比較すると、日本の家計貯蓄率は6.5%であり、米国5.8%よりやや高いが、ドイツ11.4%より低く、「OECD Economic Outlook Data Base」にリストアップされた21カ国の平均値7.3%よりも低い。

 にもかかわらず、10年物国債金利は1%そこそこと超低位を維持しているのはなぜだろうか。

 実は政府債務の膨張にもかかわらず、長期国債の超低位金利が実現されていることにこそ、今の日本経済の閉塞の根本があると筆者は考えている。それをご説明しよう。

なぜメガバンクまでもが郵貯化するのか?

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の貸借対照表(2011年3月末、連結ベース)を見て筆者は驚いた。

 保有する「有価証券」の残高が71兆円(総資産の34.4%)にも増加し、貸付金80兆円(同38.8%)に匹敵する第2の資産項目になっているのだ。保有有価証券は国債と地方債が大半であり、64%を占めている(国内株式の比率は5.1%)。2005年3月末の有価証券保有残高は48.5兆円(総資産の25.9%)、貸出金85.7兆円(同45.8%)であるから、6年間で有価証券の保有残高は22.5兆円も増えたことになる。

 みずほFGや三井住友FGも見てみたが、同様に国債と地方債を中心にした有価証券保有の急増と貸出比率の低下が見られる。

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