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世代別選挙区を採用したら議席配分はどうなる?

現在80人しかいない“青年”衆議院議員が160人になる可能性

2011年7月7日(木)

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スウェーデン国会議員の平均年齢は47歳

 突然だが、以下の図表1を見てほしい。2010年の総選挙後のスウェーデン国会議員の年齢構成(定数349)を示している。この選挙で当選した国会議員の平均年齢は47歳。18~24歳が4人、25~29歳が13人もいる。その結果、全国会議員のうち18~29歳や30~49歳の若い世代が半分以上を占め、50歳以上の議員は過半数より少ない。

(出所)Statistics Sweden

 しかも、スウェーデンでは、選挙権や被選挙権が18歳から認められている。2010年の総選挙では、史上最年少、18歳の国会議員(ストックホルム商科大学の大学生であったアベル氏)が誕生した。この衝撃的な出来事は、日本でも紹介された(関連記事)。

 他方で、日本の国会議員(衆議院)の年齢構成はどうか。これは図表2を見ると分かる。2005年の選挙後において、全衆議院議員(定数480)のうち50歳以上の議員は59.6%を占めていた。2009年選挙の後でも57.5%を占めている。しかも、2009年選挙後における衆議院議員の平均年齢は52歳であり、スウェーデンの国会議員の平均年齢よりも5歳も高い。

図表2:日本の衆議院議員の年齢構成

  衆議院議員 有権者
2005年 2009年
70代以上 4% 4.6% 19%
60代 23.1% 25.6% 15.9%
50代 32.5% 27.3% 17.3%
40代 28.5% 26.3% 15.4%
30代 11% 15.4% 18.2%
20代 0.8% 0.8% 14.3%

(注)有権者の構成比は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成22年3月31日現在)」から作成

 このような国会議員の年齢構成の違いは何をもたらすのだろうか。一つの仮説として考えられるのは、50歳未満が多数を占める国会では、若い世代に有利な政策が推進されるというものだ。一方、50歳以上が多数を占める国会では若い世代に不利な政策が推進されるかもしれない。

 今年3月11日に発生した東日本大震災の復興対策にあたって、この仮説を証明するようなことが起きた。復興財源を捻出するため、引退世代が恩恵を受ける「公的年金」は削減対象にならなかった。一方、子育てを行う若い世代が恩恵を受ける「子ども手当」は真っ先に削減の対象となった。

 この背景には、日本の国会議員の年齢構成において高齢者が多く、若い世代の利益が守られるような力学が働いていない可能性がある。その結果、孫は祖父母よりも1.2億円も損をするという「世代間格差」を引き起こしている(関連記事)。

世代別選挙区制を導入すれば20~30代の衆議院議員が倍増する可能性

 このような状況において、若い世代の意見をもっと強く国会に反映させるための提言がいくつかなされている。その一つが、前回のコラムで紹介した「ドメイン投票法(Demeny Voting)」である。これは子どもにも選挙権を付与し、親が代理で投票する仕組みである。また、選挙権を付与する年齢を、現在の20歳から、スウェーデンのように18歳まで引き下げることを提唱する識者もいる。

 他方で、もっと多くの若い政治代表を国会に直接送り込むための提言もある。それが、「世代別選挙区制」である。この世代別選挙区制は、井堀利宏・東大教授が提唱したもの。「地域」でなく「有権者の世代」に応じて選挙区を配置し、議席を配分した上で、それぞれの世代の代表を選出する制度である。

 世代の分割方法はいくつかのケースが考えられる。例えば、20~30代の「青年区」、40~50代の「中年区」、60代以上の「老年区」の3つの世代に分割する方法を考察してみよう。このとき、図表2によると、全有権者に対して20~30代の有権者が占める割合は32.5%、40~50代の有権者が占める割合は32.7%、60代以上の有権者が占める割合は34.9%となり、青年区、中年区、老年区の議席数は概ね同等となる。

コメント8件コメント/レビュー

香川県在住のものです。当地区では前回の衆院選で2名の若い方(30、40歳台)が当選しました。両者とも官僚出身ですが、世襲ではなくリスクをとっての転身だと理解しています。こういう従来にはない若い力に期待しているところです。選挙制度の問題もあると思いますが、今のままでも有権者も徐々に変わってゆくのではないでしょうか?(2011/07/07)

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「世代別選挙区を採用したら議席配分はどうなる?」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

香川県在住のものです。当地区では前回の衆院選で2名の若い方(30、40歳台)が当選しました。両者とも官僚出身ですが、世襲ではなくリスクをとっての転身だと理解しています。こういう従来にはない若い力に期待しているところです。選挙制度の問題もあると思いますが、今のままでも有権者も徐々に変わってゆくのではないでしょうか?(2011/07/07)

投票結果には、基本的に統計的な意義しかないことを考えると、この発想は無意味でなないと思うが、いずれにせよ、憲法の改正を要することだと思われ、したがって、どう制度化することができるのか全く見えて来ないところはある。ただ、現在の選挙制度が、制度に本来期待されている選挙を通じて実現すべき統治上の価値の実現という観点からは十全かどうかの評価の議論は、大っぴらに行うべきであり、そのための契機として、現在見られる不公平性をもとに種々論じるということは勧められるべきである。例えば、一票の格差の議論にも見られるが、各人が平等に一票持つ場合に、人口構造の偏りや人口密度の偏りが、どのような結果を招来するかについてなら、数理モデルをいくつか設計できるだろうから、それらに応じての数理的シミュレーションが可能だと思われる。そのようなシミュレーションが映し出す将来の姿の中には、東京一極集中し、後に爆発崩壊する(しかも、その崩壊時間の評価も可能)というような例などもあるだろう。余り時間的余裕はないようだから、急いで、いろいろな可能性を検討してほしい。(2011/07/07)

世代間の格差は広がる一方ですね。世代別選挙区などアイデアは、問題はあれど31歳の私にはとても希望が持てるものです。ですが、この高齢化政治界では誰が法案を作成して、誰が賛成票を投じてくれるんでしょうか(笑。高齢者(団塊世代)の既得権を守る内容でないと、恐らく誰も通さないでしょう。若者も高齢者も守る制度なんて夢のまた夢という気がします。私は年金暮らしの80歳の祖母がいつか亡くなったらこの国を脱出するのも有りだなと思って日々暮らしていますよ。(2011/07/07)

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