利益見通しでトヨタを超えた日産が新・中期経営計画を発表した。成長が続く新興国で攻勢をかけ、営業利益1兆円も視野に入る。ゴーン社長が自ら「高いハードル」と呼ぶ新たな挑戦に、勝算はあるのか。

写真:後藤 究
「新たな中期経営計画は、多大な努力が求められるハードルの高い内容です」――。
6月27日、日産自動車が横浜市にあるグローバル本社で開催した新・中期経営計画の発表会は、カルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)のこの言葉から始まった。
新・中期経営計画の名前は「日産パワー88(エイティエイト)」で2017年3月期までの6年間を対象とした。1つ目の8は世界シェア。2011年3月期に5.8%だったシェアを8%に伸ばす。もう1つは営業利益率で、6.1%を8%に引き上げるという。
日産は2017年3月期の世界需要が9000万台を超えると見ており、日産の販売台数は少なくとも720万台上回る計算だ。現在のトヨタ自動車(2010年3月期に730万台)に匹敵する企業規模になる。今後は単価の安い新興国市場の比率が高くなるとはいえ、2010年3月期に3116億円だった営業利益が、1兆円を超えることもあり得る。

日産にとっては非常に野心的な挑戦であることは間違いない。ゴーン氏が「必達目標ではなく努力目標」と予防線を張ったのも無理からぬことだろう。
では、その高い目標をどう実現しようというのか。日産がその最大の牽引役にしようとしているのが、新興国市場での大攻勢だ。
まず、2014年に開かれるサッカーのワールドカップや、2016年開催のリオデジャネイロ五輪で、高い成長が見込まれるブラジルに新工場を設立し、20万台の生産能力を確保する。
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