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そのコンプレックス、何とでもなります

自分の個性と向き合い、自分なりの研究を重ねよう

2011年7月8日(金)

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 顔にコンプレックスがあり、自分に自信が持てず、営業成績にもそれが出ているのではと感じます。いい歳をしてまだそんなことが気になる私に助言をください(40代女性)

 遙から

 なぜこれほどまでに美容業界が巨大市場として成立するのか。顧客心理の構造をダイレクトに実感する出来事があった。

 私は「美容講座をやってほしい」という依頼をたまにされる。美に貪欲な女性の、私なんかの技術でも盗めるものなら盗みたい、という気持ちの表れなのか。

 これまでそういった類の講座を辞退してきたのは、肌質や肉質といったものは遺伝的なものが大きく、努力や工夫の範疇ではないという判断からだった。

 私の肌はトラブルが少ないが、私の兄たちも艶やかな肌質だ。女に生まれたほうがよかったのではないかと思うほど。同時に無駄毛がほとんどない。毛穴が少ないぶんキメも細かい。

 母はアジの開きのように薄っぺらい体だった。結果、私と兄たちで太っている体質もない。教えられることなどほぼなかった

 ただ、唯一、他人に伝授できるものがあるとすれば、“メイク法”だった。

 メイクは、遺伝の限界を超え、その可能性は無限大だ。人は「もう主婦だから」とか「50代だから」とかを理由にあらゆる制約の中で生きている。メイクはそれを物語り、メイクを見れば、その人の世界観が垣間見える。私にとって多くの女性たちのメイクは保守的で無難で薄かった。なんとでもなる可能性をはらんでいるのに、なにもせずただ「美しくなりたい」と唱えているのが彼女たちだ。

 そこで、今回依頼された知人には、「メイクアップ講座ならできるかも」と提案してみた。

 私が挑戦することに興味を持ったのは、“年配のためのメイク講座”だ。若けりゃ何を塗ったってきれいに決まっていた。肌がたるみ、クマとシミの柄ができ、シワが刻印になり、何が自分を美しく見せるかには無知でも、何が自分の自信を奪っているかのコンプレックスにだけは敏感な女性たち。私はそういう年配女性たちになら、提案できることは数々あった。

 「やりましょう。年配のためのビューティメイク講座」

 スタジオに集まってきたのは、30代から70代の女性たちだった。喜々と湧き立つ空気に、彼女たちの期待が充満していた。

 「私が今日お教えするのは、若い女性ではなく、ご年配のためのメイク法です」

 そう始めるなり、スタジオでは歓声があがった。

 ここでは詳細は割愛するが、画用紙を使って顔の部位の修正法やカバー法を解説した。よくテレビでメイクアップアーティストが喋りながらモデルの顔に化粧をのせているが、土台がいい上に、ちょこまか小細工をしたところで、私には学ぶところは少なかった。

 大きな画用紙で、まずは明確に“老い”を印づけるのだ。その老いをどうフォローするか、を、説明したかった。

 全員が紙と鉛筆を持ってきているのに驚いた。その必死さが愛おしかった。

 解説に1時間。そしてようやく熟年世代のモデルへのメイクとなる。

 はたして、私の技法が普遍的なものかどうか、他人に試す初めての挑戦だった。

 結果は、私自身も驚くことになった。

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「そのコンプレックス、何とでもなります」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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