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「法の支配」の貫徹が日本経済を強くする

東電問題に見る日本の統治システムの欠陥

  • 荒井 裕樹

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2011年7月8日(金)

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 訴訟弁護士の仕事から金融ビジネスに転身した荒井裕樹氏は、日本を再び強い国に変えていくために、既存の秩序を破壊すべきだと主張している。そのうえで、経済の主たる構成要素であるヒト、モノ、カネおよびこれら3つを有機的に結びつけている統治システムのあるべき姿について書いてきた。本コラムの最終回では、法律家の立場で日本の課題に迫る。

 「東電問題」を法的に処理すべきだ。

 このように言うと、東京電力を法的に破綻処理すべきだと言っているように聞こえるかもしれないが、必ずしもそうではない。単に、東電問題を法律に則って粛々と処理すべきだ、と言っているだけだ。

 私がここで言う東電問題とは、単に東京電力福島第1原子力発電所の事故による避難住民への賠償・補償問題や農水産物、観光業をはじめとする風評被害への賠償問題にとどまらない。電力供給不全による事業損失の賠償問題、株主や社債保有者、金融機関などの債権者の損失負担問題、経営陣の経営上の責任、監督官庁における監督上の責任、政府の賠償責任などの諸問題を含んでいる。

 東電問題について現在行われている様々な議論の中心は、避難住民や風評被害への賠償を誰がどれだけ負担すべきなのか、その枠組みをどうするべきなのか、といった将来の立法措置に関する議論、すなわち立法論だ。もちろん、立法府である国会は将来の立法措置に関する議論をする場であり、立法論を行うことは当然である。

 しかし、新たな立法を行うためには、行うべき理由、すなわち立法理由が必要だ。しかるに、そもそも、東電問題について、現行法の下において、どのような法的帰結が導かれるかについて、真剣に議論された形跡は乏しい。現行法が導く法的帰結を検討せずに、正しい立法理由を見いだすことができないのは必然だ。

現行法が導く東電問題の法的帰結

 現行法が導く法的帰結とは何か。それは、例えば、「原子力損害の賠償に関する法律第3条1項但し書き」では、放射線の作用などによる損害が「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるとき」には、東電は賠償責任が免責されるが、東電の経営陣が当該法的根拠に則った法的措置を採ることを真剣に検討した形跡は現在までのところ認められない。

 しかし、東電の経営陣は、賠償額が巨額と見積もられており、現に株価や債券価格が暴落し、企業の存続に重大な疑義が発生している原因となっている賠償責任が免責される可能性のある法的措置を採らないとすれば、取締役の忠実義務ないし善管注意義務違反に該当し、株主代表訴訟などの対象となり得ることに、より注意を払うべきだ。

 とりわけ、東電の株式を大量に保有する金融機関や機関投資家などは、積極的に東電に対してかかる対処を働きかけるべきであり、かかる働きかけを行わないこと自体が、保有していた東電株式について多額の損失を計上した当該金融機関などの機関投資家の取締役などの忠実義務等違反になり得る。

 あるいは、例えば鉄道、工場、データセンター、娯楽施設等を営業する事業会社が、東電による電力供給不全により、事業運営の中断を余儀なくされたことによる機会損失、自家発電による追加的コストの発生による損害などについて、少なくとも直接ないし間接に損害を受けた上場企業は、東電に対して当該損害について賠償請求すべきであり、賠償請求しない場合には、取締役の忠実義務等違反が成立し得ることに注意を払うべきだ。

コメント7件コメント/レビュー

結局どういう論旨で行きたかったのかわからないまま終了してしまうのが残念です。主張は真っ当なことが多いような気がしましたが、弁護士特有の上から目線というかアメリカかぶれに見られる日本をアメリカ化すべきだというかそういう言い方が読者を味方につけられなかった原因かと思います。荒井さんの今後のご活躍を期待しています。(2011/07/08)

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いただいたコメント

結局どういう論旨で行きたかったのかわからないまま終了してしまうのが残念です。主張は真っ当なことが多いような気がしましたが、弁護士特有の上から目線というかアメリカかぶれに見られる日本をアメリカ化すべきだというかそういう言い方が読者を味方につけられなかった原因かと思います。荒井さんの今後のご活躍を期待しています。(2011/07/08)

まったく同感。まずは議論を論理的に行うということだろう。対立意見を論理的に議論する。情に流される判断は一利もない。国会の腐臭議論は話にならない。また、結果論で批判するクレーマーもどきの一部の責任意識の欠けた東電株主も論理的とは言いがたい。東電の責任範囲についても、コメントに種種意見があるが、これもまずは法に照らして論理的な議論を行えばよい話で、なんとなく、情に流された結論だから、全員が納得しないのでしょう。国の最高機関の非論理性と非倫理性に苛立っています。彼らが範を示さねば、公式の場では論理的、倫理的であらねばならない、という当たり前のことさえままならない。(2011/07/08)

法の支配の徹底は,立法過程の合理化とも一体化せざるを得ない.それは,また,法体系の描く「世界像」と「現実」の世界の乖離をいかに「管理」するか,ということでもある.曖昧な空想の「世界」の描像に基づいて「統治」を行ない,現実との乖離が甚だしくなったときに,有効な対処手段がない,あるいは,用意してある手段がドラスティックになりすぎている,ということで,手が出ないというのが今までであった.荒井氏指摘の東電の事故に対する関係者の法的措置の検討忌避は,日本の企業が国際化していることを考えると,今後何が起きるかわからないのだから,やはり怠慢としかいえないだろう.当然,かれらも最悪のシナリオの想定は欠かせないのでは?(2011/07/08)

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