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誤解された敵対的買収の真価を再考する契機に

ライブドア事件の“爪跡”を改めて振り返る(上)

  • 草野 耕一

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2011年7月19日(火)

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 2004年のプロ野球参入表明、2005年のニッポン放送株買収騒動、そして同年9月に行われた衆議院選挙への出馬──。

 次々とサプライズを繰り出して世間の関心を集め、自ら経営する企業の時価総額を8000億円超にまで膨らませて時代の寵児となった堀江貴文・元ライブドア社長。

 その転落は突然だった。衆院選から4カ月後の2006年1月、東京地方検察庁がライブドア本社を捜索。それから1カ月も経たないうちに証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、偽計・風説の流布)容疑で逮捕・起訴された。

 それから5年余り。2011年4月には最高裁判所が堀江元社長の上告を棄却し、懲役2年6月の実刑判決が確定した。6月20日には収監のために自宅から東京高等検察庁へ出頭するまでの様子が動画サイトで生中継されるなど、再び注目を集めた。そんな堀江元社長を今も支持する人は少なくない。

 その是非はともかくとして、ライブドア事件が当時、世間に大きな衝撃を与え、今なおこの国の経済社会にさまざまな形で影を落としていることは否めないだろう。ならば、堀江元社長の収監を機に、ライブドア事件と依然として残るその“爪跡”を冷静に振り返り、教訓をくみ取ることは有意義であるはずだ。

 そこで企業経営やM&A(合併・買収)、ファイナンスなどに詳しい3人の専門家に改めてライブドア事件に対する見解を聞いた。最初に登場するのは、本サイトに「あまり法律家的でない法律論」を連載した草野耕一・西村あさひ法律事務所代表パートナー。M&Aのエキスパートとして知られる弁護士の草野氏は、まず堀江元社長の実刑判決の是非について論じる。

(取材構成は、中野目 純一=日経ビジネスオンライン記者)

 ライブドア事件にはいろいろな見方がありますね。1つは、世の中の秩序をわきまえない人間が、社会の制裁を受けたという見方。それによって日本の古き良き制度が守られて良かったと考えている人も少なくないでしょう。

 逆にIT(情報技術)の旗手、ベンチャーの旗手があまりに出過ぎた真似をしたために、いわば出る杭が打たれて、日本におけるベンチャー輩出の芽まで摘まれてしまったという見方もある。実際にライブドア事件の後、東証マザーズなど新興企業向けの株式市場は崩壊状態に陥っています。

 さらにライブドア事件は、ある種の国策捜査だったのではないかという議論もある。正直に申し上げてこれらの見方は恐らく、それぞれに正しい部分はあるのかもしれません。しかし、忘れてはならない最も重要なポイントは、立件された事件自体が極めて悪質なものであったことです。

「立件した罪は本筋ではない」という見方は誤り

 この事件は勝訴の確実性が高い形式犯(自転車の駐輪違反など、法の形式規定に反する行為があれば犯罪となるもの)だけを取り上げて、堀江氏の実質的な犯罪にまで踏み込んでいない。堀江氏がほかにやったことの方がもっと悪いのに、そこに切り込まなかったという見方もあります。ですが、それは立件された事件の内容を正しく理解しての評価とは思えません。

 例えば、ニッポン放送株を大量に買収する際に立会外取引で行ったことの方が悪い、株を分割したことの方が悪いなどと言われます。確かにどちらもお行儀の良くない行為かもしれませんが、法律家の目から見ると、そう目くじらを立てるような取引ではない。

6月20日にモヒカン刈りのヘアスタイルで東京高等検察庁に向かい、同庁の前で報道陣や支持者に囲まれる堀江貴文・元ライブドア社長(写真:アフロ)

 むしろ、立件された容疑である偽計・風説の流布による株価の操作や有価証券報告書の虚偽記載こそが、株式市場に決定的な混乱を起こしたものです。まさに堀江氏の行っていたライブドアの経営の根本的に誤っている部分を取り上げているのです。

 この事件は、本当に日本の株式市場の評判を落としました。ですから、立件された罪で実刑判決という制裁を受けるのは、当然のことです。先に申し上げたように跳ねっ返りだから制裁を受けたとか、あるいはベンチャーの旗手がスケープゴートにされたというようなスキャンダラスなとらえ方をするのは間違い。立件された事件そのものを等身大で評価すべきだと思います。

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