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冷静に考えれば、堀江氏が後世に与えた影響は限定的

ライブドア事件の“爪跡”を改めて振り返る(中)

2011年7月20日(水)

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 2004年のプロ野球参入表明、2005年のニッポン放送株買収騒動、そして同年9月に行われた衆議院選挙への出馬──。

 次々とサプライズを繰り出して世間の関心を集め、自ら経営する企業の時価総額を8000億円超にまで膨らませて時代の寵児となった堀江貴文・元ライブドア社長。

 その転落は突然だった。衆院選から4カ月後の2006年1月、東京地方検察庁がライブドア本社を捜索。それから1カ月も経たないうちに証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、偽計・風説の流布)容疑で逮捕・起訴された。

 それから5年余り。2011年4月には最高裁判所が堀江元社長の上告を棄却し、懲役2年6月の実刑判決が確定した。6月20日には収監のために自宅から東京高等検察庁へ出頭するまでの様子が動画サイトで生中継されるなど、再び注目を集めた。そんな堀江元社長を今も支持する人は少なくない。

 その是非はともかくとして、ライブドア事件が当時、世間に大きな衝撃を与え、今なおこの国の経済社会にさまざまな形で影を落としていることは否めないだろう。ならば、堀江元社長の収監を機に、ライブドア事件と依然として残るその“爪跡”を冷静に振り返り、教訓をくみ取ることは有意義であるはずだ。

 そこで企業経営やM&A(合併・買収)、ファイナンスなどに詳しい3人の専門家に改めてライブドア事件に対する見解を聞いた。今回に登場するのは、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネス・スクール)の小幡績・准教授。企業の財務などを専門とする小幡准教授は、堀江氏の実刑は妥当だと指摘する一方で、その後のベンチャーの起業動向や株式市場に与えた影響は、巷間言われているほど大きくないとの見方を示す。

(取材構成は、中野目 純一=日経ビジネスオンライン記者)

 ライブドア事件に対する見方は、今も大きく2つに分かれています。1つはいわゆる「ヒルズ族」を象徴する成り上がりとしての堀江貴文氏に対する反発で、保守層に多い。もう1つは、アンチ検察で、ホリエモンを悲劇のヒーローと見る論調。こちらは反体制派の若者が中心です。

 どちらもライブドア事件そのものよりも、堀江氏のキャラクターを対象とした感情的な見方であって、そこから離れて事件を冷静に振り返ることは確かに必要だと思います。

 この事件についてまず引っ掛かるのは、実刑判決は重すぎるという意見を耳にする点です。

 株式の壮大な100分割や100分割高騰時の海外における現物自社株の売却などは起訴の対象になっていないし、裁判で立証されてもいない。にもかかわらず、それらを勘案して実刑にするのはひどすぎる。有価証券報告書の虚偽記載と決算の粉飾だけだったら、ほかにも山ほどあって、実刑ではなく執行猶予になっている人もいる。それと比較して重すぎると。

ライブドア事件で問われた罪の概要

(1)有価証券報告書の虚偽記載(決算の粉飾)

  1. ライブドアが実質支配する投資事業組合(ファンド)が、現金で買収しておいた2社(クラサワコミュニケーションズとウェッブキャッシング・ドットコム)と交換にライブドア株を取得。その株売却でファンドが得た約37億6000万円の利益をライブドアが違法に収益計上した
  2. 実質支配するファンドで買収済みのロイヤル信販とキューズ・ネットの2社に対して、架空売り上げ約15億8000万円を計上した

(2)偽計および風説の流布

  1. 子会社のライブドアマーケティングがマネーライフを株式交換で買収した際に、株式交換比率に関して虚偽の公表をした

  2. 実際は赤字だったライブドアマーケティングの業績を黒字と偽って公表した

 この意見はある意味、正しいと思います。ほかの事件に比べて刑が重いというのは事実ですから。ですが、だからといって、ライブドア事件が実刑に相当しないというのは誤りです。むしろ同種の事件に対する刑罰が軽すぎた。

最高裁の判決に異を唱えれば、法治国家が揺らぐ

 有価証券報告書の虚偽記載はやはり極めて重い犯罪ですし、決算の粉飾も重大な犯罪です。決算を粉飾して、その数字に基づいてライブドアの株価は高騰しました。それが有価証券報告書の虚偽記載と決算の粉飾が明るみに出て、一転して大暴落した。その後は結局、ライブドアのビジネスもうまくいかなくなった。ですから、その罪は当然重い。実刑が妥当だと思います。

 この事件は検察の国策捜査で、堀江氏が突出したので狙われたともよく言われます。検察が実際にどういう意図で立件したかは、私には分かりません。

 ただし、最高裁まで争った結果の最終判断である。立件した検察に対する批判は別として、司法権を担う裁判所、しかもその最高機関である最高裁判所が実刑と判断した。行政たる検察でもなく、政治的判断が介入する国会でもない。行政府や立法府から独立した司法の最高機関である最高裁が下した判決に異を唱えたのでは、三権分立を否定していることになるし、法治国家として成り立たなくなる。

 法律家の間では判決の是非についていろいろと議論があるかもしれませんが、一般の国民は最高裁の判決をまずは妥当だと受け入れるべきでしょう。

コメント5件コメント/レビュー

「一般の国民は最高裁の判決をまずは妥当だと受け入れるべきでしょう。」ということは、一般の国民は(いかなる事件であろうと)最高裁の判決が妥当かどうかを検証する必要はなくすべて鵜呑みにするべきだ、ということですね。驚きました。(2011/07/20)

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「冷静に考えれば、堀江氏が後世に与えた影響は限定的」の著者

小幡 績

小幡 績(おばた・せき)

慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授

1967年生まれ。92年3月東京大学経済学部卒業、同年4月、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。99~2001年ハーバード大学。2001年ハーバード大学にて経済学博士を取得。2003年から慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「一般の国民は最高裁の判決をまずは妥当だと受け入れるべきでしょう。」ということは、一般の国民は(いかなる事件であろうと)最高裁の判決が妥当かどうかを検証する必要はなくすべて鵜呑みにするべきだ、ということですね。驚きました。(2011/07/20)

?最高裁判決を批判することは法治国家に反しない。判決執行について妨害するなどの行為は誤りだが、批判することは民主主義国家、法治国家に不可欠な要素。?「決算の粉飾」という点について議論がある事件であり、司法による認定事実が「司法上の結論」としては動かないものの、それに依拠してしまえば、ライブドア事件の総括としては、与えられた結論に基づく薄っぺらいものになってしまう。?量刑についての議論については、他の事件が軽すぎた、との主張に対する根拠がなく、単なる感想にすぎない。結局、「裁判で結論がでた。そんなものは忘れて次へ。」ということしかなく、総括になっていない。(2011/07/20)

ライブドア事件から得られる教訓の一つは、起業家は組む人材(必要がある場合)が真に自分の不足している点を誠実に補ってくれる人であり相乗して企業成長に結びつく人であるかを十分吟味することではないでしょうか。ライブドア事件の起因は、この選択を誤ったことにあると思われます。(2011/07/20)

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