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風評被害は「リテラシー」では防げない

『風評被害 そのメカニズムを考える』の関谷直也・東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科准教授に聞く

  • 芹沢 一也

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2011年7月25日(月)

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――風評被害と「うわさ」による被害は、異なるものだと定義されていますね。

関谷 今回の原発事故のような大きな事故が起こったときに、それが報道されることによって、「実際には放射性物質が飛散してない」にもかかわらず、流通業者や個人が買い控えなどをした結果、経済的な被害が生じる現象、それが風評被害です。

――風評被害とは、「実際の影響はないのに経済的な被害が生じること」なんですね。

関谷 風評被害は、1990年代半ばまでは、原子力関連の事故によってもたらされる経済的被害を意味していました。原子力事業者が、原子力損害賠償法で補償される損害ではないものを「風評にすぎない損害」と言っていたんですね。それが90年代後半以降、JCOの臨界事故やナホトカ号重油流出事故、テレビ朝日の所沢ダイオキシン報道問題などが起こってくるなかで、マスコミで風評被害という言葉が定着する一方、同時に輪郭があいまいになって、何となく「デマ」や「うわさ」による被害も含めて使われるようになってしまっています。

 しかし、厳密にはうわさによる被害とは区別すべきです。風評被害のポイントは、事実としての事件、事故があり、それが報道されていること。しかも、本来は、それに起因する汚染などがなく、安全であるにもかかわらず、経済的な損失を被った、というもの。ですので、根拠がなく口コミなどでひろがる「うわさ」や、かつての水俣病の際の水銀パニックのような、実際に汚染があった公害問題による被害とは異なります。

風評被害を近代国家が避けられない理由

――風評被害はなぜ起こるのでしょうか?

関谷 直也(せきや・なおや)
東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科准教授。1975年新潟生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。東京大学大学院人文社会系研究科社会情報学専門分野博士単位取得退学。東京大学大学院情報学環助手などを経て現職。内閣官房参事。2007年日本災害情報学会学術貢献分野・廣井賞受賞。09年日本広報学会賞優秀研究奨励賞、日本広告学会賞学術部門賞受賞。専門は災害情報・環境情報の社会心理、安全社会論。著書に『環境広告の心理と戦略』(同友館)。(写真・陶山 勉、以下同)

関谷 3つの原因があります。

 第一にメディア。現代は情報があふれ、誰もがメディアの影響を受けざるを得ない「情報過多社会」です。

 第二に「安全社会」であること。人々が「安全である」ことを無条件で前提としているために、危険だとされたものへの忌避意識が強く働きます。こうした環境下では「この食品は危険だ」「この土地は危ない」という情報が加速度的に広がります。

 第三に、「高度流通社会」であること。流通が発達すると、商品の選択肢が増えるわけですから、たいていのモノは代替品が手に入る。売る側も「同じことなら安心な方が売れるだろう」と判断します。結果、実際には汚染がなくとも危険だと感じられた食品などが売れなくなり、経済的な被害が発生するわけですね。

――ということは、現代社会において風評被害は不可避、となりませんか。

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