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盗聴事件を契機に、マードック流「右傾化」への懸念が沸騰

2011年7月29日(金)

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168年の歴史を誇るタブロイド紙の「古傷」で大やけど

 全世界50カ国に散らばる750のメディア企業――新聞、テレビ、映画、出版など――を傘下に収める巨大グループ「ニューズ・コーポレーション」(NC=本部ニューヨーク)。その総帥、オーストラリア出身のルパート・マードック(80歳)が創業以来最大の危機に立たされている。

 「メディアの商社化」とでも言ったらいいのか。イギリス大衆紙で儲けたカネをつぎ込んで、英米の高級紙を次々と買収。買った高級紙のネームバリューと商品価値の高い情報を最大限に利用してグループ全体の社会的地位を上げる。その一方で、24時間ニューズ専門ケーブル・衛星テレビ局を興し、草の根の保守派を刺激し、世論の保守化を図る。ただし彼が目指す保守主義の実態は依然としてはっきりしていない。

 マードックは、資本力と寡占化によってメディア界を壟断しようとしてきたメディア王と言っても過言ではない。そのメディア王が、200ある傘下の新聞の一つ、イギリスの大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」(NW=発行部数266万部)が数年前に犯した携帯電話盗聴犯罪という「古傷」のために大やけどを負っている。下手をすると、米英両国の司直の手にかかるかもしれない事態に直面している。

ニューズ・コーポレーションは英新聞発行部数の4割を占める

 問題の大衆紙NWは、168年の歴史を持つタブロイド紙だ。1969年、マードックが英国で最初に買収し、「マードック帝国」の足ががりとなった。王室や政界、芸能界のスキャンダルをセンセーショナルに取り上げることで、英国の一般大衆層に浸透してきた。

 英国の新聞、雑誌メディアはおよそ以下のように分類できる。インテリ層が好んで読む高級紙として「デーリー・テレグラフ」(発行部数63万部)、「タイムズ」(45万部)、「フィナンシャル・タイムズ」(38万部)、「ガーディアン」(26万部)、「インディペンダント」(18万部)がある。大衆向けには「サン」(280万部)、「デーリー・メール」(207万部)、「デーリー・ミラー」(116万部)などの日刊紙がある。日曜紙には、「メール・オン・サンデー」(192万部)、「サンデー・ミラー」(108万部)、「サンデー・タイムズ」(103万部)。大衆日曜紙には今回廃刊になった「NW」(268万部)、「サンデー・ミラー」(108万部)がある。(発行部数はいずれも、ABCs:National dailies, April 2011/National Sundays.June 2011より)

 マードックのニューズ・コーポレーションは、高級紙「タイムズ」と大衆紙NW、「サン」を擁し、英国における全新聞発行部数の4割を占めてきた。他の高級紙がいくら見下そうとも、量では太刀打ちできない存在だ。それだけに官界、政界にも影響力があった。

記者を盗聴に駆り立てた熾烈な新聞のサバイバル戦争

 ところが、労働者層の中流化や教育の均等化により格差社会が変貌した。テレビ、インターネットが大きく普及した。このため、70年代には発行部数600万部を誇った大衆紙NWも現在は200万台にまで激減している。他の大衆紙も同様だ。いずれも発行部数を大きく減らしている。それだけにセンセーショナルなネタを争う取材合戦は激化の一途をたどっていた。今回発覚したNWによる電話盗聴事件にはそうした背景があった。

 「古傷」とは、2002~2007年に同紙の王室担当記者と私立探偵が、ウィリアム王子ら王室関係者の携帯電話を盗聴したことだ。2005年11月、王子のひざの怪我についてNWが特報。この事実は、王子とその秘書、医者ら数人しか知らない内容だったため、電話盗聴が疑われた。

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「盗聴事件を契機に、マードック流「右傾化」への懸念が沸騰」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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