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「ショッピングモール的、インターネット的復興の仕方」

作家・東浩紀が語る東日本大震災(後編)

2011年8月18日(木)

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これは5月2日収録したインタビューをベースに構成してあります。

前編から読む)

天災については、あきらめよう 原発に対しては、やめてしまおう

 思えば第二次世界大戦から今までの65年間、日本では、戦争でも天災でも、大量の人間がなくなり、国民全体が同時に傷を負うという経験がほとんどありませんでした。だからこうした大規模な災害に対する心構えがなかった。阪神大震災はたしかに6000人以上の命を奪い、大きな被害をもたらしました。けれども被害地域は限定的であり、阪神地区以外の人に災害の強い実感をもたらすことはなかった。これは当時よく問題にされましたが。

東 浩紀(あずま・ひろき)氏
1971年生まれ。評論家・作家。現代思想を主題にした評論活動を展開。代表作に『存在論的郵便的』『動物化するポストモダン』など。09年に初小説『クォンタム・ファミリーズ』を発表。三島由紀夫賞受賞。10年に出版社コンテクチュアズを設立。(写真:菅野 勝男、以下同)

 他方、今回の震災は決定的に被害地域が広い。原発事故は日本全体に不安と恐慌をもたらしている。ぼくたちはようやく、国民全体として、いままで続いてきた日常がひっくりかえるかもしれないという危機に直面したと言えます。

 しかし、そうなると、あらためて「日本列島で生きること」の意味を問い返したくなります。

 先日、福島県南相馬市の津波で被災した海岸に行きました。堤防が砂山を崩すように壊れ、コンクリート製の巨大なテトラポットが紙細工のように散らばっていた。

 これを見た瞬間に感じました。ああ、こりゃ無理だと。

 地震も津波も、いまの人間には制御できる規模の災害ではない。まさに天災です。そして複数のプレートが衝突する位置にある日本は、どうしようもなく、地震や火山噴火が頻繁に起きて、ときには津波もあるという条件を抱えている。日本人はそんな場所で文明を営んでいる。――まずはこの条件に対する「あきらめ」が必要だと思います。

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 震災後ときおり日本の古典を読みます。そうすると、昔から日本はしょっちゅう地震が起きて、津波が襲い、町や村がつぶれて人がたくさん亡くなっていることに気づきます。彼らも同じように地震に悩まされていたのか、と千何百年前の人にいきなり共感してしまう。

 ぼくたちは、逃れられない天災になんどもなんども町をひっくり返されながら、それでも復興し、文明を紡いできた国の子孫なんですね。戦後のほんの60年間、偶然のおかげでその運命を忘れていた。しかしそれを思い出すべきです。この島に暮らし、この島で文明を営むというのは、地震や津波といった天災と常にセットなんです。原発がなくなると日本経済が立ち行かない云々以前に、これはもう絶対的に頭に入れておいたほうがいい。

 いままではずっと「オオカミ少年」状態だった東海地震についても、今後は具体的に想定して動く必要がある。もし東海地震が起きれば、日本の中枢を直撃し、太平洋沿岸を走る東海道新幹線まで津波が襲うかもしれない。一時停止が決定したけれど、静岡県の震源地近くには浜岡原子力発電所もある。堤防の高さをあるていど高くすれば大丈夫というのは、被災地の様子を見るととても言えません。

 さきほどの話と繋がりますが、ぼくたちは、人間の能力にいまだ限界があることを知るべきだと思います。100年後、200年後にはわかりませんが、とりあえずいまの技術では、東海地震が襲ってきたら原発は管理できなさそうだし、いちど事故が起こってしまったら放射能汚染は回復不可能なんです。その限界は明らかにあるのだから、そのなかでできることを考えるほかないのではないでしょうか。

インターネットは危機の民主主義装置となるか?

 今回の震災と原発事故で、さまざまな意味でインターネットの存在感が圧倒的に増したのは紛れもない事実です。それまでネットとは一線を画していた大手メディアがツイッター上で情報発信をしたり、また個々人が連絡網や意見交換の場として、ツイッターやミクシイやブログを活用するのが常態化しました。

 では、ネットはこれから私たちの社会を新しいところに連れて行ってくれるのか。ポイントは、「集合知」がどこで機能し、どこで機能しないかを見極めることかと思います。

 今回の震災でインターネットがどう役だったのか、それを検証するためには、地震対策のフェーズと原発事故のフェーズを区別するべきです。

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