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「量子ドット」究極の太陽電池目指す

ナノ単位の技術で、変換効率80%うかがう

2011年8月18日(木)

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 結晶シリコン太陽電池のエネルギー変換効率の上限は約30%。そのため、次世代太陽電池の研究開発が国家プロジェクトとして進められている。中でも、究極の太陽電池と目されているのが、「量子ドット太陽電池」だ。

 そして、最近、この量子ドット太陽電池に関して、新たな研究成果が発表された。これまで定説とされてきた量子ドット太陽電池のエネルギー変換効率の上限63%に対し、東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長の荒川泰彦教授とシャープの研究チームが、75%以上になることを示したのだ。

 再生可能エネルギーへの期待が高まる中、次世代太陽電池の研究開発が国家プロジェクトとして進められている。中でも、究極の太陽電池と目されているのが、「量子ドット太陽電池」だ。

 その理由は、エネルギー変換効率の高さにある。現在、一般に普及している結晶シリコン太陽電池のエネルギー変換効率の上限は約30%。それに対し、量子ドット太陽電池は、その2倍以上を実現できる可能性を秘めているのだ。

 そのため、現在、量子ドット太陽電池の実用化に向けて、国内外を問わず多くの研究者が研究開発を加速させている。

電子を閉じ込めるための極小の粒

東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長の荒川泰彦教授

 このような状況の中、量子ドット太陽電池に新たな発見があった。これまで、エネルギー変換効率の上限は63%と考えられていたのに対し、2011年4月、東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長の荒川泰彦教授とシャープの研究チームが、理論計算上、75%以上になることを示したのだ。

 そもそも「量子ドット」は、1982年に、荒川教授が世界で初めて提唱した概念で、電子を閉じ込めるために形成した極小の粒(ドット)のことだ。1粒の量子ドットの大きさは、直径数ナノメートル(ナノは10億分の1)から数10ナノメートルで、約1万個の原子で構成されている。

 これを、太陽光パネルの半導体の薄膜の中にちりばめると、エネルギー変換効率を大幅に向上させることができるのだ。

量子ドットの電子顕微鏡写真(提供:東京大学 荒川教授)

 太陽電池は、「バンドギャップ」と呼ばれるものを利用して、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換している。バンドギャップとは、半導体の中にある「価電子帯」と「伝導帯」とのエネルギー差のことで、その値は半導体の種類によって異なる。

 シリコンなどの半導体でできた太陽光パネルに光が当たると、エネルギーの低いp型半導体の「価電子帯」にある電子が光エネルギーを吸収し、エネルギーのより高いn型半導体の「伝導帯」に移動する。そこで生じる電圧差を電力として取り出しているのだ。

 太陽光には、波長の長い赤外線から波長の短い紫外線まで様々な波長の光が含まれる。波長の長さによって光の持つエネルギーは異なり、波長の短い光ほどエネルギーが高い。

 結晶シリコン太陽電池の場合、波長の長い赤外線では光エネルギーが低すぎて、価電子帯にいる電子を伝導帯に押し上げることができない。つまり、赤外線は電気エネルギーには変換されないのだ。

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「「量子ドット」究極の太陽電池目指す」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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