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列強に囲まれた宿命が韓国パワーの源泉

日本は緩さで勝負するのが得策?

2011年9月7日(水)

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 久しぶりに韓国を訪問した。ハーバード大学がアジアで開催する最大の国際会議、Harvard Project for Asia and International Relation(HPAIR)で講演することが目的だった。今年はHPAIR20周年の記念大会。記念大会が東京ではなくソウルで開催されるのは、それぞれの国の勢いを象徴するかのようだ。

 今回は多くの出会いから韓国の底力の秘密について学んだ。結論を言えば「アジア各国の力が衝突する半島に位置するがゆえの厳しく悲しい歴史が韓国のパワーの源泉である」ということだ。

 そして、この韓国を知る過程で、歴史と地政学を学ぶことが世界を知る上で重要であることを、改めて教えられた気がした。今、私が在籍するランド研究所??アメリカ最古のシンクタンクで、政府の政策に最も影響力を与えていると言われる??でも、各研究者が貪るように歴史を読んでいる。ランドの図書館にも歴史書があふれている。そのわけを再認識した。

ハーバード進学は競争回避?

 初日は日本の在韓外交官と、とある学生街の路地裏の焼肉屋へ行った。日本人がよく行く高級店をあえて避け、ジモティーのおススメ隠れ名店へ。ただ、問題点が一つあった。オーダーが最低600グラムからなのだ。3種類の肉をオーダーしたら1800グラムになってしまう。「学生街」の「肉屋」という“地政学的要因”なのかもしれない。

 学生街なので学生の活気が間近で感じられてよかった。今のところ韓国社会では、学生の将来が「学歴」と「学業成績」に完全に相関する。このため学生はかなり勉強する。SKY(ソウル、高麗、延世)に入るのはもちろん、卒業するまで、かなり激烈な競争が続くのだ。韓国で急増している学部からの英米留学は、「国内での苛烈な強烈を避ける」意味もあるという。

 韓国だけでなく中国でも同様だという。翌朝、ホテルの朝食バッフェで、ハーバード大学の3年生たちと懇談した。3人ともアメリカ生まれの中国人。中国でも、大学への入学から卒業まで競争の連続だ。彼らは苛烈な受験・成績競争を敬遠してハーバードへ進学した。

 その中の一人の中国人男子学生は「僕の高校は、卒業生のほとんどがハーバードなんか行けない名もない高校。ここでクラブやボランティアに精を出した。出願したら入れた。僕の高校からハーバードに入学したのは、僕が初めて。僕のように高校生活を過ごしたら、北京大や復旦大はとても無理だった。米国の場合、試験は、SAT (大学入試用統一テスト)のように気軽な、何度でも受けられるものだけ。後は多様性を評価しれくれる。僕はアメリカの大学が好き」と打ち明けてくれた。ただし、この発言にはこの学生の謙遜が入っているだろう。実際問題として、学部からハーバードに入学するのは相当困難なことである。

命がけの教育投資が生む少子化

 韓国での学歴・就活問題に話を戻す。韓国に駐在する日本人外交官や知人の韓国人企業経営者によれば、韓国の就活では、学生が中小企業を敬遠することが問題になっている。日本よりかなり顕著だ。サムソン、LG,現代、KIAなどグローバル企業に採用されることが学生の夢。中小企業に入る学生はいない。よってグローバル大企業と中小企業の人材格差は深刻だ。その結果、中小企業はグローバル大企業の下請けとして叩かれ続ける。人材に乏しい中小企業は、独自のグローバル展開など夢のまた夢だ。韓国財界人は、中小企業のすそ野が広い日本の状況をうらやましがっている。

 加えて、ベンチャー企業を目指す優秀な学生もほとんどいない。優秀で、かつ独立心旺盛な人材は、コンサル会社や会計事務所に行くそうだ。

 韓国社会の課題は少子化だ。2010年の出生率は1.22で1.39の日本を下回っている。原因は教育費にある。親は子供の教育に多額の投資をする。海外留学する妻子に、父親がひもじい思いをしながら、本国から仕送りを続ける。

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「列強に囲まれた宿命が韓国パワーの源泉」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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