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ツイッターやグルーポンを普通名詞でどう呼ぶか?

横断的な簡易表現をつくるのは難しい

2011年9月13日(火)

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 「インベーダーはやらないこと」。筆者が中学校の時、担任の先生が配ったプリントに記してあったフレーズです。プリントの表題は「夏休みの過ごし方」。生活指導上の注意事項を周知するプリントでした。筆者は中学1年から3年まで(1980~82年度)のすべての夏休みで、「インベーダー」のフレーズを目撃したように記憶しています。

 43歳の筆者と同じ年代の方なら、インベーダーの意味がお分かりでしょう。ゲームメーカーのタイトーが1978年に発表したビデオゲーム「スペースインベーダー」のことです。このゲームは同年秋から翌年夏にかけて、社会現象とも言えるブームを巻き起こしました。当時は喫茶店がゲーム機を置き始めたり、プレイに必要な100円硬貨が全国的に不足したり、プレイ代欲しさに子どもが万引きに走ったりするなど、「インベーダー」をめぐって日本中が大騒ぎしました。

 ただ流行は1979年の終わりに一段落していました。中学1年(1980年)当時の筆者にとっては「とっくに終わった流行」だったのです。ですから「インベーダーはやらない」という表現が、随分やぼったく思えました。「自分だったら『ゲームセンターなどに行かないこと』と書くのに」と思ったものです。既にゲーム好きだった筆者は、とにかくプリントに難癖を付けたかった気分もあったのでしょう。

 いま大人の視点でプリントを読み返すと、当時の先生に同情したくなります。なにしろ当時はスペースインベーダーやパックマンなどのゲームを総称する「普通名詞」が浸透していなかったのですから。マニアの間でアーケードゲームとかビデオゲームなどの普通名詞が普及したのは、もう少し後のことだったと思います。

 このように言葉の世界では「初期に登場した商品やサービスが圧倒的な存在感を示したために『固有名詞』が『普通名詞』として定着する例」がたくさん存在します。現在においても、写メールやツイッターなどの固有名詞が普通名詞のように利用されています。

 そこで今回の「社会を映し出すコトバ」は、幾つかの商品名やサービス名を題材にして「固有名詞が普通名詞化した例」を観察してみます。そして、後出しジャンケン方式で普通名詞を普及させることが、いかに難しいことなのかを説明してみたいと思います。

「本当は商標だよ」という定番トリビア

 雑学や言葉が好きな人の定番的なトリビアに「この言葉って本当は商標なんだよ」というネタがあります。例えばエレクトーン(電子オルガン)、オセロゲーム(リバーシ)、キャタピラー(無限軌道)、ジェットスキー(水上バイク)、ジャグジー(ジェットバス)、宅急便(宅配便)、テトラポッド(消波ブロック)、ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)、ポラロイド(インスタントカメラ)、ローラーブレード(インラインスケート)などは、すべて商標です。

 このように普通名詞的に使われる固有名詞の中には、様々な経緯を経て「本当に普通名詞として使えるようになった」言葉もあります。例えば特許庁の審決で普通名称と判断されたポケベル(代替名称はページャーや無線呼び出し機など)、商標権者が権利を放棄したエスカレーター(自動式階段)、権利者が更新申請を行わず商標権が失効したホッチキス(ステープラー)、商標権者が実質的に権利を主張していないデジカメ(デジタルカメラ)などの事例があります。

 新聞などが記事を書く際には、普通名詞的に扱われる固有名詞であっても「代替的な普通名詞」に言い換えることになっています。記事内の記述が特定商品(商標)を指していると勘違いされないようにするためです。例えば筆者の手元にある「記者ハンドブック」(共同通信社)には「特定商品名と言い換え」というコーナーがあり、言い換えの指針を示しています。

 とはいえ記事内で、無限軌道、リバーシなどの言葉を使われても、それが何のことなのかさっぱり分かりません。こうした事態を想定して、記者ハンドブックは「商品イメージを損なわない限り、原則にとらわれることなく(商標を使うなど)柔軟に対応する」との方針も示しています。

 ともあれ強力なイメージの商品やサービスが存在すると、それを代替すべき普通名詞がなかなか浸透しにくい状況があるわけです。

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「ツイッターやグルーポンを普通名詞でどう呼ぶか?」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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