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細分化・一芸化が進む「アイドル呼称」の辞典(前編)

1990年代の細分化、2000年代の一芸化

2011年9月20日(火)

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 日本で「アイドル」という言葉が人気歌手や人気俳優などを指すようになったのは、1960年代のことでした。例えば1964年に日本で公開されたフランス映画「Cherchez l'idole」には「アイドルを探せ」という邦題がついています。この映画に出演した歌手シルヴィ・ヴァルタンによる主題歌「La plus Belle pour Aller Danser」の邦題も「アイドルを探せ」でした。また1965年発表のビートルズのアルバム「Help!」には、「4人はアイドル」という邦題がついていました。当初アイドルという言葉が、海外の人気アーティストを指していたことが分かります。

 さて、物心ついた私がテレビで初めて「アイドル」を目にした時期は、キャンディーズ(1972年~78年)が活躍した時代だったと思います。1970年代までに、アイドルという言葉は国内の人気歌手を指すようになっていました。そして1970年代から1980年代にかけて、歴史に残るアイドル歌手――ピンクレディー、山口百恵、松田聖子、中森明菜、小泉今日子など――が続々と登場しました。もちろん男性アイドルも同様です。彼女たちは歌手をメインとしながら、グラビア・映画・ドラマ・バラエティー番組・広告などへの出演もこなしました。1980年代までに確立したこの活動形態は「日本型アイドル」の様式として確立することになります。

 ただ典型的なアイドル像が通用したのは80年代の前半までのこと。1985年には素人っぽさをウリにしたアイドルグループ、おニャン子クラブが登場しました。この時期を境に、アイドル界ではジャンルの細分化が進行。バラエティー番組で活躍する「バラドル」や、グラビアを活動の主軸とする「グラビアアイドル」、アイドル的な声優である「声優アイドル」などが登場しました。

 これに加えて2000年代に入ると「ネットアイドル」「バーチャルアイドル」「アキバ系アイドル」といったジャンルも登場。特にここ数年は、劇場公演を活動の主体とする「グループアイドル」(AKB48など)や、韓国出身の「韓流アイドル」(KARAなど)の人気が高いようです。

 いっぽう2000年代のアイドル界では、究極の細分化である“一芸化”現象も顕著となりました。例えば魚に詳しい「魚(うお)ドル」、株取引に詳しい「株ドル」など、一芸をウリにしたアイドルが登場したのです。そして一芸をウリにしたアイドル呼称の中には、一人一ジャンルのケースも少なくありません。

 今回の「時代を映し出すコトバたち」は、女性アイドルを中心に、アイドル呼称を観察します。対象とする言葉は、細分化が進んだ1990年代以降の呼称。それぞれの概念が複雑に絡み合う様子を実感していただけるよう、五十音順の辞書形式で紹介していきます。今回はその前編。まずは「あ行」から「か行」のアイドル呼称を観察してみましょう。

あ行 ~アイドルの一芸化~

 まずは「あ行」から。あ行の注目語は「一芸アイドル」。2000年代の中頃から進んだ、究極の細分化を象徴する言葉です。

【アキバ系アイドル】東京・秋葉原を中心に活動を行うアイドル。ライブハウスや路上でのパフォーマンス、撮影会などの活動を行います。ただしAKB48のような有名グループは別扱いとする場合があります。逆に秋葉原が活動拠点でなくても、オタク文化に近い距離にいるアイドルはこのカテゴリーに含める場合があります。スポーツ紙での初出は2005年12月8日のデイリースポーツ「『秋葉原48劇場』できょう始動 秋元康プロデュースで、アキバ発アイドル目指す」でした。なお本稿では、メディアにおける初出時期を示すため、スポーツ紙の情報を用いることにしました。データベースで調査できるメディアのうち「芸能関係の話題に最も強いこと」がその理由です。

【一芸アイドル】一芸をウリにするアイドル。魚好きであることをウリにする「魚(うお)ドル」や、鉄道好きをウリにする「鉄ドル」など、注目してもらいたい特徴を打ち出すアイドルを意味します。メディアによっては「珍ドル」「コンセプトアイドル」などと表現する場合があります。魚ドルや鉄ドルなどの言葉は、カテゴリー名というよりキャッチコピーに近い存在になっています。

 実は一芸アイドルの先駆的事例は1990年代に存在していました。後述する「電脳アイドル」がその一つです。ただ一芸化が顕著になったのはここ数年のこと。マスメディアによる代表的な紹介例には、フジテレビ「笑っていいとも!」のコーナー「出たいドル!」(2008年10月2日~2009年10月1日)や、産経新聞の連載記事「一芸アイドル」(2009年10月3日~2010年7月24日・全43回)などがあります。

【イラドル】人をイライラさせるキャラクターのアイドル。山下若菜が打ち出しているキャッチコピーで、一人一ジャンル系の一芸アイドルです。ちなみに彼女は昆虫飼育も好きであることから「ムシドル」という別名も持っています。

【インディーズアイドル】インディーズレーベル(独立流通で販売を行う会社)で音楽を発表するアイドル。ライブハウスでパフォーマンスを行い、ライブ後にCDを販売するスタイルが一般的です。ブログや動画中継サイトなど、プロモーションに必要なツールが安価かつ容易に使用できる環境が整ったことが、インディーズ活動を可能にしました。もちろんその分、インディーズアイドル内で競合するアイドルが増える状況にあります。

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「細分化・一芸化が進む「アイドル呼称」の辞典(前編)」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官