海外展開を急ぐ同社の足元で、何が起きているのか。「ユニクロ」の国内販売が8年ぶりに前の期の実績を割り込んだ。国内市場での“伸びしろ”「ファッション」分野で苦戦が続いている。
「中国からインドにかけては有望な市場です。今後10年間で10億~20億人が中産階級になる。アジアは10年後にはEU(欧州連合)のようになります」。カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正CEO(最高経営責任者)は、熱を込めて海外市場の可能性を語った。「ゴールドラッシュなんです。全員で掘りにいくしかない」。
9月14日、横浜市で開催された同社の事業戦略説明会の内容は「海外展開」ほぼ一色だった。

年間200~300店ペースで海外出店を進める。アジア各都市に旗艦店を出店。欧・米・中国・アジア、それぞれに地域本部を開設する――。「攻め」の一手で書き連ねられた配布資料に添えられた言葉は、「Winner Takes All(勝者がすべて取る)」。
デフレ経済下のアパレル業界で「唯一の勝ち組」と呼ばれた同社が、アジアを舞台にまたその座を得ようと注力する姿勢をよく表している。
だが、何を語ったかより、何を語らなかったかを考えることで見えてくるものがある。
大半が海外展開について割かれた同資料は全26ページ。その中で、ユニクロ国内市場については割かれた紙幅はわずか1ページだった。
語る必要がないほどに好調なのか。現実はむしろ逆だ。9月2日、同社は2011年8月期のユニクロ国内直営店売上高・既存店売上高が8年ぶりに前年割れしたことを発表している。
最後に直営店売上高・既存店売上高が前年割れした「8年前」――2003年8月期は、いわゆるフリースブームの「反動」に苦しんでいた時期。当時、柳井氏は不振を受け社長を退いている。結果だけ見れば、今は、それ以来の販売減速と言える。
2011年8月期で既存店売上高が前年同月割れした月は2010年9~12月、2011年2月、3月、5月、8月。秋口には「残暑が続き」、冬には「気温が高く推移した」、夏は「低温による影響で」と、同社は販売不振の理由として天候不順を挙げるが、天候が思わしくない年はここ数年で何度もあり、天気だけで「8年ぶり」を説明するのは難しい。


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