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クレーム対応は「ふーん」が正しい

「そういう時代になったのだ」で楽しんでみる

2011年9月30日(金)

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 異動で顧客のクレームを聞く部署になりました。いやでいやで仕方がありません。助言を。(30代男性)

 遙から

 昨今、テレビ局にはコンプライアンス事業局という部署があり、視聴者からのクレームに対応する自己批判番組を持っている。そこに依頼され出演した私がコメントすることになった。そのクレームとは…。

 子役とその母親に、「子のために辣腕プロデューサーに抱かれてもいいか」というような質問をある出演者がし、それを放送したことだった。怒りと不快のクレームが数件来た。

 この質問がいいか悪いかと問われれば、そりゃ悪い。とても悪い。子供に悪いし母には失礼だ。

 しかし、では問うが、とても正しい番組を局は発信できるのだろうか、ということだ。
 清廉潔白、模範的道徳的バラエティ番組は作れるのだろうか。

 この答えも明白だ。無理。到底無理。笑いは社会規範の根底をくすぐったり揺らしたりすることにある。

 じゃ、こんなクレーム、無視しちゃっていいのか。

 それはいけない。絶対いけない。なんたって時代はコンプライアンスだ。

 じゃ、いったいどーすればいいいのだ、というところで私と、私とは対立意見のゲストとの登場となり、番組での議論が始まる。

 制作側としての迷いは、「抱く」をもっと抽象的な「ほら、アレ」といった言葉表現にしたらいいのか。子供さえそこにいなければ許される質問か。と、その悩みに混迷が見える。

 私の意見は、「ひとつの問題発言の背後にはいくつもの社会問題が重層的にある。女性を性的客体として特化する問題。女性の身体が武器になる前提が成立する問題。利益を享受する側と、仕事を与え便宜を図るといった意思決定側に性別偏りがある問題。問題発言はそれらバックグラウンドを前提に出た一部。言葉の解決は、解決ではない」。

 対する意見が興味深い。

 「実際、女性が子供のためにといってアプローチしたところでプロデューサーが抱くか、仕事を与えるか、ということを考慮すると非現実的である。その質問に対して会場では母たちから笑いも起きている。また、その質問に答えてみせるところも“不快”よりある種の“乗り”があり、不適切な発言への怒りよりも、それに乗って笑ってみせられるだけの“余裕”を物語っているものである」

 この議論のすれ違い。私は社会背景を。対立意見は現実的か否かを問う。思想vs.現実という構図にワクワクし、だから私は議論が好きだと感じた一瞬だ。

 なぜその問題発言が出たのかという精神風土の話を私はしており、実際あるかどうかを話しているのではない。また、笑いは、後になっていかにそれが問題だったかを知ることもある。てなことを反論したが、さすが敵陣。

 私を挑発し試す質問をした。

 「遙さんはそんな男性社会の職場で辛い体験をしましたか?」

 私の危険センサーが鳴った。

「遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」」のバックナンバー

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「クレーム対応は「ふーん」が正しい」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長