• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

アジア人男性との結婚と労働市場の閉鎖性

なでしこ姫のゆくえ~グローバル時代の国際結婚

  • 山田 昌弘

バックナンバー

2011年10月25日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 『ミツコ』というミュージカルがある。主人公ミツコは、明治時代半ばの1893年、日本に赴任したオーストリア貴族の外交官に見初められ結婚し、夫の帰国と共に渡欧、伯爵婦人となる。夫の死後一人で5人の子どもを育て、息子の一人が欧州連合の提唱者として有名になるまでを描いたものである。結婚に当たって日本の両親は大反対、以後音信不通、渡欧後は日本への帰国はおろか、親との手紙のやりとりもせず、オーストリアで一生を終える。家では、日本語を話すことを禁じていたという。そして、ミツコの名前はゲランの香水として名を残すことになる(異説あり)。ミュージカルなので誇張はあるにしろ、当時の国際結婚は、親はもちろん、日本との縁を切る覚悟でするものであった。

 ミツコの結婚からほぼ100年経った現在、国際結婚をめぐる状況は様変わりである。われわれが調査したケースの中で、当初は親に反対されたケースもあるが結局は認めているし、紹介したら親が彼と意気投合したというのもあった。特に距離的にさほど遠くない中国や東南アジア在住の場合は、結婚後の行き来も頻繁で、子どもを連れて里帰り、日本の親が年に数回遊びに来るというのもあった。ネットや電話での連絡も密で、感覚としては日本の他の地域に嫁ぐとのそう変わらない。家でも、夫とは英語や中国語だが、子どもがいる場合は、日本語で会話しているケースが多い。

 グローバル化が進み、国際的な移動コストや通信コストが低下する。本人だけでなく、親世代の意識も変化して、特に女性の場合は、外国人との結婚との抵抗は少なくなっている。国際結婚の敷居はますます低くなっている。

「女性の結婚――生まれ変わりという構図」は変わらない

 逆に、国内の結婚をみてみると、その敷居はますます高くなっている。震災で婚約指輪の売り上げが伸びたというデータもあるが、結婚願望は高まってもそれが直結婚につながるわけではない。2010年の国勢調査速報によると、30代前半の未婚率は男性46.5%、女性33.3%、30代後半で見ると男性34.6%、女性22.4%となった。未婚者の9割程度は結婚を望んでいるのにもかかわらず、国内での結婚がますます減少している。つまり、結婚したくても、結婚できない状況が広がっているのだ。

 リーマンショック、無縁社会の流行、そして、今回の震災となり、ここ数年の間に、結婚願望、特に若い女性の間での結婚願望が強まった。しかし、結婚願望が強まれば強まるほど、逆に、現実とのギャップが認識され、結婚が遠のくという。それは、若年男性の経済状況が悪化し、結婚しても経済的にやっていけないという要因が大きいが、前回開内氏が述べたように、日本で女性にとって魅力的な結婚が少なくなっているのだ。

 私は、15年前の1996年、『結婚の社会学』(丸善ライブラリー)で、結婚は、男性にとっては「イベント」、女性は「生まれ変わり」と書いた。男性にとっては、結婚は一つの通過点と意識され、結婚によって人生が大きく変わると思っていない。しかし、女性の場合は、誰と結婚するかによって人生が全く変わってしまうと思われている。前回開内氏が書いているように、結婚は人生を賭けたライフコースなのである。

 この男女の結婚に対するスタンスが変わらないことが、現在の日本の結婚難を招いていると私は考えている。

 戦後高度成長期から1990年頃までは、男性は自分のキャリアの妨げにならない結婚が可能だった。出産後は専業主婦、子どもが大きくなったら家計補助のためのパートという働き方は、まさに、男性の仕事を邪魔しないパターンだったのだ。そして、女性にとっても、収入の安定し上昇する男性と結婚することは、よりよい生まれ変わりとなった。なぜなら、職業世界においては女性がキャリアを実現することは難しかった。そして、1990年頃までは、ほとんどの男性は正社員か安定した自営業の跡継ぎであったので、「結婚して主婦となって豊かな生活を築くライフコース」は、女性にとって、よりよい人生と見えたのである。

コメント6

「なでしこ姫はアジアをめざす」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員