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ワードウォッチングで探る「ジョブズの足跡」(前編)

iワードの流行、スケルトンの誤解、クラシックが象徴するもの

2011年10月25日(火)

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 今この原稿を書いている(打ち込んでいる)筆者の周りには様々なアップル製品が存在します。机の右側には仕事・生活・趣味の拠点として大活躍しているデスクトップパソコンのMac Proが稼働中。机の左側では、外出する際に欠かせないiPodやiPhoneが充電待機中。正面の棚には、電子雑誌などで調べ物をする時などに使用するiPadも置いてあります。こうやって書き出してみて、自分自身の「アップル依存度の高さ」を改めて実感しています。

 そんな筆者が「ジョブズがいない世界」を覚悟し始めたのは、確か2005年のことだったと記憶しています。

 この年の6月、アップルCEOのスティーブ・ジョブズはMacintoshシリーズで採用するプロセサをPowerPCからインテルのx86系に変更することを発表しました。性能向上を目的とした措置とは言え、プロセサの変更はソフト開発者にも消費者にも多大な影響を与えるかもしれない措置でした。「こんな思い切った決断や、決断に伴う対策を講じることができる経営者はジョブズしかいないのではないか」。当時の筆者はそのように考えました。と同時に彼がアップルにいない未来を、ぼんやりと覚悟するようになったのです。

 とはいえ、彼のいない未来がここまで早く訪れることまでは想像していませんでした。ジョブズは10月5日、膵臓(すいぞう)腫瘍の転移に伴う呼吸停止により、56歳の若さでこの世を去りました。アップルが、新製品であるiPhone 4Sを発表した翌日というタイミングでした。

 筆者にとって、情報通信技術や経営などの観点からジョブズやアップルの足跡を振り返ることは、難しいかもしれません。しかし筆者にはワードウォッチングの心得があります。そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、ジョブズやアップルの周辺にある言葉を特集します。言葉を通じてジョブズを偲びたいと思います。

 今回はその前編。iMacやiPhoneなどのiワードや、スケルトン、デザイン、クラシックといった言葉を取り上げます。

創業と追放と復帰の歴史

 まず話の前提として、ジョブズとアップルの歴史について簡単に復習しましょう。ジョブズの歴史は、大きく分けて三つの時代に分けて理解できます。最初が「アップルを創業して追い出されるまで」の時代。次が「アップルの外で他企業を経営していた」時代。そして最後が「アップルに復帰してから現在に至るまで」の時代です。

【創業から追放まで】

 ジョブズが友人のスティーブ・ウォズニアックらとアップルコンピュータ(2007年アップルInc.に改称、以後アップル)を設立したのは1977年のこと。同社は世界初の組み立て済みパソコンであるApple II(アップルツー)を販売してヒットさせました。また1984年には、パソコンとしては初めてGUI(graphical user interface)を取り入れたMacintosh(マッキントッシュ、以後マック)を販売します。

 しかしジョブズが需要予測を見誤ったため、同社はマックの過剰在庫を抱えてしまいます。そこでジョブズは、1985年に同社を追い出されてしまいました。

【追放時代(1)】

 アップルを追い出されたジョブズは、新しいコンピューター企業である「NeXT(ネクスト)」を1985年に創業。その一方、映像制作会社ルーカスフィルムのコンピューター部門を買収して「ピクサー・アニメーション・スタジオ」(以後ピクサー)を独立させました。このピクサーが後に「トイ・ストーリー」(1995年に米国公開)などの長編CDアニメを次々とヒットさせるようになります。

【追放時代(2)】

 一方、ジョブズ不在のアップルは凋落への道をたどることになります。1992年には携帯情報機器の走りでもあるNewton Messagepad(ニュートン・メッセージパッド)を発表。コンセプトが高い評価を受けるものの、商業的には失敗します。また当時隆盛を極めていたIBM互換機(PC/AT互換機)に対抗すべく、基本ソフトMac OSの互換戦略を開始。他のパソコン・メーカーに基本ソフトのライセンス提供を始め、マック互換機の製造・販売を許可しました。しかしこれが裏目に出て、マック互換機同士で市場シェアを食い合う状況が起こってしまいました。さらには新しい基本ソフトの開発にも失敗。1990年代中期のアップルは売却先探しに追われるほどの経営危機に陥ったのです。

【復帰以後】

 アップルは新しい基本ソフトの自社開発を断念して1997年2月にネクスト社を買収。これを契機にジョブズ氏はアップルへの復帰を果たします(CEOに正式に就任したのは2000年)。

 そして1997年8月には資金提供を軸とするマイクロソフトとの事業提携を発表。この提携はアップルが経営危機を脱する原動力となりました。その後1998年のiMac、2001年のiPod、2007年のiPhone、2010年のiPadと次々とヒット商品を送り出したことは、みなさんもよくご存じのことでしょう。

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「ワードウォッチングで探る「ジョブズの足跡」(前編)」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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