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女子大生、“茶髪”と“単独”が危ない

イケってはみたけれど、強くも大胆でもない

2011年10月28日(金)

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 若い社員がすぐ辞めてしまいます。仕事を教えようにも学ぶ態度になっていないこともしばしば。新人なのにプライドは高く、理解できません。(50代男性)

 遙から

 母校の女子大に講演で呼ばれた。私を招いた教授の悩みというのは学生たちの就職問題だった。せっかく大学で資格を取り就職してもすぐ辞める、そしてバイトを転々としてしまうのだそうだ。実に現代っ子らしい生き方を嘆く世代に私も教授もいる、という現実がおかしかった。なぜなら、自分もまた大学在学時にはそのように教授たちを嘆かせていた学生のひとりだったに違いないのだから。

 私は女子大生というのが好きではない。苦手というか、はっきり言おう。嫌いだ。若さが根拠のない自信を持たせ、不遜で傲慢でそのくせ傷つきやすい。世間を知らないくせに若さを武器にした世渡りだけはしたたかで、なにか知らないが、とても毎日が楽しそうだ。それだけで嫉妬するし、うらやましいし、なんだか悔しい。

 そんなバカげた理由で、女子大生相手の仕事などには距離を置いてきた。だが今回は母校であることと教授の熱心さに根負けしたというわけだった。

 会場には数百人の女子大生がいる。私の在学中には存在しなかった洒落たホールだった。それだけでもう悔しい。

 客席をざっと見渡すと、まじめグループ、茶髪イケイケグループ、単独参加型、義務参加脱落型、と分類できた。まじめグループはすでにノートとペンを持ち、ステージ近くに席を取り私に集中している。義務参加脱落型はまず遅刻する。投げ捨てるようにカバンを机に放り、背もたれにもたれ腰をずらして着席する。席はもちろん最後方だ。「教授に来いと言われて来ただけ、聞く気なし」という、参加と同時にすでに脱落しているタイプだ。

 “まじめ”型には、「いや、そこまで勉強になる話が私にできるかしら」と焦り、“脱落”型には「貴重な時間を無駄に使いやがって」と憤りを覚えるが、この“まじめ”と“脱落”の両タイプは、私は心配していない。どちらも自分の生き方がすでに確立しそこに迷いがないからだ。

 私は“茶髪”の中にひとり、そして、“単独”の中にひとりの女性の視線が、講演中、気になっていた。

 「はい。今日はこの二人」と私は思った。この二人のために講演をする。この二人の食い入るように私を見つめる目線には、何かおそらくは切実なものがある、と予感した。

 講演後、その二人が別々に私の楽屋出を待っていた。目には涙を浮かべている。数分の会話で伝えきれない悩みや不安を持て余すもどかしさを私はその涙に見た。

 私自身経験があるが、伝えたいことがいっぱいあって言葉にならない時、代わりに涙が出る。彼女たちが転職を繰り返し、低賃金へと流浪していくという情報と、このある種の不安さは繋がっているのではないか、と、考えてみた。

 ひとりは「自分の選ぼうとしている職業の値打ちがわからない」と言う。なんのためにこの仕事があるのか、そこに喜びを見出せるだろうか、ということへの不安。就職する前からすでに腰が引けている。

 意味も喜びもわからないままとりあえず就職し、ちょっと上司に怒られたらそりゃ仕事を辞めたくもなるだろう。低賃金になると次は、その過酷さが新たな問いを生み、生きる喜びは何か、に、答えを見い出せなければ心は荒みもしよう。

 今不安な子は、何もかもが不安なのだ。就職=解決、ではない。

 “まじめ”型は、「努力すれば未来がある」と信じているぶん迷いがない。すぐ転職せずしばらくはじっくり努力するのだろう。

 “脱落”型は、「努力したって無駄」と悟っているぶんこれも迷いがない。仕事より稼ぎのいい夫探しに精魂傾けるかもしれない。

 “茶髪イケイケ”は、とりあえず時流に乗ってはいるが、不安や迷いを抱え、“単独”型はすでに深刻な不安と向き合っている。と、私は見た。勝手にだが。

 すると“転職”の理由も見えてくる。就職しても「ここではない」と次へ行く。自分の居場所探しであり、幸せ探しだ。探して探して低賃金のバイトになっていく。

 私は彼女たちの不安に、大急ぎで答えた。

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「女子大生、“茶髪”と“単独”が危ない」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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