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老舗企業はどこで躓(つまず)いたのか

オリンパス社長解任劇の源流

  • 石黒 千賀子,小谷 真幸,伊藤 正倫

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2011年11月2日(水)

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技術を重視した「堅い会社」が抱える買収案件の闇。源流を追っていくと、菊川氏の成功体験の副作用に行き着く。買収戦略は頓挫し、内向きの体質は悪化の一途をたどった。

 優良企業というイメージとは裏腹に、コーポレートガバナンス(企業統治)の問題をさらけ出したオリンパス。実は、これまでの同社の企業統治の施策が、名ばかりで機能していないのではないかとの疑念を浮き彫りにした出来事が4年前にもあった。内部通報のもみ消し事件である。

 2007年6月、非破壊検査機器などを担当していた同社社員の濱田正晴氏は、取引先から上司が不当に人材を引き抜こうとしていると社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に通報した。この人材が機密情報を知り得る立場にいることから、不正競争防止法に抵触する恐れがあると考えたからだ。

 オリンパスでは、企業内部でしか把握されない不祥事を明らかにするために、2006年に施行された公益通報者保護法に先立ち、その前年からコンプライアンス窓口の運用を始めていた。

 ところが、窓口担当者は守秘義務があるにもかかわらず、濱田氏の名前を上司に報告、濱田氏は2007年10月に専門外の閑職に異動させられた。

 濱田氏は、通報者に不利益な処遇をしないとする社内規定などに反するとして会社側を提訴。1審の東京地裁は「会社側に権利乱用はなかった」と請求を棄却したが、今年8月末に東京高裁は配置転換の無効と会社側に損害賠償支払いを命じる逆転判決を出した。直後、オリンパス側は上告した。

 現行の公益通報者保護法に対して、通報者の保護要件が厳しすぎるなどの批判もある。だが、このコンプライアンス窓口の運用を見ると、オリンパスが社内の不祥事の芽を早期に摘み、企業体質を強くしようと動いていない事実が見えてくる。企業統治の施策は、イメージを高めるためのパフォーマンスにすぎなかったのではないか、と。

社風を変えたデジカメ成功物語

 表面上はきれいに見せるが、内実は旧態依然とした古い体質を引きずったまま――。外国人社長の抜擢も同じ構図だったのではないか。

 それにしても、なぜ技術オリエンテッドだったオリンパスが英医療機器メーカー、ジャイラスをはじめとした巨額のM&A戦略に走ったのか。その謎は11年間、社長・会長として君臨してきた菊川剛氏を抜きには解けない。

 オリンパスは1919年に創業した老舗光学メーカーで、顕微鏡事業を皮切りに、30年代にカメラ事業、50年代に医療用内視鏡事業へと参入して、技術力によって業界内の地位を確保してきた。内視鏡という世界シェア70%のドル箱事業を抱えているため、社風も慎重でおっとりしていると言われてきた。

 この社風を大きく変えたのが菊川氏だ。米国法人など海外畑が長いが、その名を一躍有名にしたのは、担当したデジタルカメラ事業の成功だった。

 他社の製品が30万画素程度だった時代に、菊川氏は高画質の商品開発戦略を打ち出し、96年に81万画素のデジカメを一般消費者市場に向けて発売。1年後には141万画素へ性能を高め、画素数競争に先鞭をつけた。デジカメ事業は、96年からの5年間で売上高1000億円超にまで育っている。

 同市場への参入は社内に反対意見も多かったが、「3年後に単年度黒字化、5年後に累損一掃」と反対の声を押し切った。完璧な製品にこだわる技術陣に対してスピード開発を説く一方、実売10万円以下という目標を実現するため、発売の目算も立たないうちに主要部品を大量購入する賭けにも出た。

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