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タイ洪水が迫る「安全」意識の転換

効率重視のサプライチェーン拡大に潜む落とし穴

  • 亀井 克之

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2011年11月2日(水)

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 タイで起きた大規模洪水をきっかけに、製品の生産を停止する動きが再び世界に広がっている。東日本大震災の時と同様に、国境をまたいで複雑に絡み合うサプライチェーンに潜在しているリスクが改めて浮き彫りになった。

 このようなリスクを直視して、企業は自社の経営をどう変えていかなければならないのか。リスクマネジメントを専門とする関西大学社会安全学部の亀井克之教授が、今後に求められるリスク管理のあり方を探る。

(取材構成は、峯村創一=フリーライター)

 タイ洪水による混乱が広がっている。現地では300人以上が犠牲となり、中部アユタヤ県からパトムタニ県にかけて7つの大型工業団地が水没。ホンダ、トヨタ自動車、いすゞ、日産自動車、マツダ、パナソニック、ニコン、キヤノン、ソニー、日本電産、日立製作所など、400社以上の日系企業が打撃を受けたと報じられている。

 その影響は海外に飛び火している。トヨタでは、部品供給の停止によって、北米4工場でも10月29日に生産を取りやめる事態に発展した。今もなお、一部工場では減産が続いており、先行きは不透明である。一国の被害が、世界中に張り巡らされたサプライチェーンを伝わり、他国の思わぬところに影響を及ぼすこととなった。

何度も災害を乗り越えてきた日本の製造業

 歴史をひもとけば、「ジャスト・イン・タイム」に代表されるトヨタ生産方式が大きく揺らいだのは、これで5度目である。

 最初の危機は、1995年に起きた阪神・淡路大震災だった。関連会社の工場が被災し、トヨタの全工場の生産が停止したが、わずか数日で再開している。

 2度目の危機は、1997年に起きたアイシン精機の火災事故である。同社の刈谷第一工場で起きた火災によって、プロポーショニング・バルブ(PV)という部品の生産ラインが停止。トヨタ車の約90%がこの工場からPVの供給を受けていたために、たちまち組立工場の生産がストップしてしまった。

 被害の大きさから、当初は復旧まで1カ月はかかるだろうと見られていたが、精力的な復旧活動の結果、1週間足らずで操業再開にこぎ着けた。

 これを支えたのが、「お家の一大事」と積極的に代替生産に協力した系列下請け会社の存在である。加えて愛知県内の企業だが、トヨタの系列ではない会社も「地域経済の柱であるトヨタを支えたい」と協力を申し出て、復旧に力を尽くした。

 「閉鎖的で前近代的」と海外からは批判的な目で見られることの多い「ケイレツ」だが、このような危急存亡の際には一丸となって、奇跡的なスピードでの復旧を成功させたのである。

 仮にこれが契約社会の米国であれば、どうだろう。契約書に盛り込まれていない不測の事態に直面した場合、日本のように複数の会社が損得勘定抜きに力を合わせて迅速に対処することはできないのではないだろうか。

 それから10年後、トヨタは3度目の試練に見舞われる。2007年の新潟県中越沖地震で、リケンの柏崎工場が被災。ピストンリング国内トップシェアを持つ同工場の被災によって、トヨタだけでなく日本の自動車産業全体が操業停止に追い込まれた。

 この時は、トヨタはじめ自動車メーカーが合わせて約700人もの応援部隊を同工場に送り込み、またしても約1週間という驚異的なスピードで操業再開を果たした。

 このように、日本の製造業は何度もサプライチェーンの寸断という事態に見舞われながらも、現場の底力と、企業の枠を超えた結束力で乗り切ってきたのである。

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