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「タイ洪水をもたらした大雨は予測できていた」

山形俊男・東京大学教授に聞く

  • 山形 俊男

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2011年11月2日(水)

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 「タイ洪水をもたらした大雨は予測できていた」と、東京大学の山形俊男教授は語る。

 要因は、20世紀後半になって顕在化したインド洋の大気と海洋の相互作用──。地球温暖化にともない、こうした現象は強度を増し、異常気象を増やしつつある。

(取材構成は、唐津雅人=ライター)

 タイの洪水が長期化の様相を呈し、日本企業の工場が浸水して操業がストップするなど、産業界にも大きな影響を及ぼしている。

 この大洪水の原因として、バンコク周辺が平坦であるという地勢、さらに政府による人為的なミスなども提起されているが、やはり気になるのは、例年の1.5倍から2倍におよぶとされる降水量だろう。このような「異常気象」は、なぜ起きたのか。これからもたびたび起きるのだろうか。そしてそれは予測可能なのだろうか──。

 東京大学大学院理学系研究科長の山形俊男氏は、タイ政府によるダム開放の失敗などミスマネジメントも大きな要因としながら、インド洋から太平洋にかけての海の気象の影響が大きいと指摘する。

 「今年はインド洋にダイポールモード現象が起き、一方で太平洋ではラニーニャ現象が起きました。ダイポールモード現象が発生すると、インドシナ半島には大雨が降ります。ラニーニャ現象もこの地域に大雨をもたらすので、今回はそのダブルパンチを受け、大量の雨が降ったと考えることができるでしょう」

海面水温の「西高東低」をもたらすダイポールモード

 ダイポールモード。インド洋で発生するため英語の「Indian Ocean Dipole」を略してIODとも呼ばれるこの現象は、1999年に山形氏らによって報告されたものである。大気と海洋の相互作用により発生する現象で、簡単にいうならインド洋の東部、インドネシア沖の海面水温が平年より下がり、反対にインド洋西部のアフリカ大陸沖で平年より上昇するというものだ。

 水温の上昇・低下というと、太平洋のエルニーニョ現象とラニーニャ現象がすぐに思い浮かぶことだろう。

 エルニーニョ現象は太平洋の東部で水温が上がり、西部で下がる「東高西低」。ラニーニャ現象はその反対で、太平洋東部で水温が下がり、西部で上昇する「西高東低」。ともに、その発生には南半球側で南東から吹く貿易風が関わっている。

 厳密にいえば風だけが原因なのではなく、海流や地形などの要因も絡み合っているのだが、ともかくインド洋で発生するダイポールモード現象にも、インド洋東部で南東から吹きつける貿易風が大きく関わってくる。

 「南東からの風が吹くことで、インド洋東部の海面水温が下がります。風が吹くと海の表層にある温かい水が沖方向に運ばれ、下層から冷たい水が湧いてくるわけです。水温の低いところは気圧が高くなるため、そこから低いところへ向かって風が吹きます。ダイポールモード現象とは、このように大気と海洋が相互に作用し合う現象です」と山形教授は説明する。

 山形教授によると、かつて気象学と海洋学は別々のものとして研究されていたが、それをお互いが影響を与え合うものとして研究することにより、ダイポールモードのような現象の存在もわかってきたとのことだ。

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