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タイ洪水で震災復興構想会議委員が示す処方箋

再び浮き彫りになった「先例に学べない」日本人

2011年11月9日(水)

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 東日本大震災から半年余り。タイで起きた大規模な洪水によって、日本の製造業は再び大きな打撃を受けた。

 なぜ同じような事態に陥ってしまったのか。何を反省して見直していくべきなのか──。政府が設置した東日本大震災復興構想会議の委員を務める河田惠昭・関西大学社会安全学部学部長に聞いた。

 東日本大震災が起きる前に、近著『津波災害─減災社会を築く』(岩波新書)で大津波による被害について警鐘を鳴らしていた河田学部長は、タイだけでなく東南アジア全体で水害のリスクが高まっていると指摘。その深刻なリスクに対処するための処方箋を提示する。

(取材構成は、中野目純一=日経ビジネスオンライン記者)

 今回のタイの洪水で被災した工場などの復旧・復興には時間がかかる。地震ではなく水害であるからだ。水に浸かった機械は修理できず、すべて新品を交換する必要がある。だから、半年以上はかかるだろう。

 さらに問題なのは、今回の洪水は今年に限ったものではなく、来年以降も起きる可能性が高いことだ。こう指摘する背景には、地球温暖化によって雨が従来よりも強く降るようになっていることがある。

 もともとチャオプラヤ川の流域は、雨季には川の水があふれる。それに伴って川から肥沃な土砂が運ばれるので、流域の田畑には肥料を与えなくても作物を栽培することができるわけだ。堤防が設けられていないところがたくさんあるから、土のうを積んで決壊を防ごうとしても防ぎきれず、洪水が起きる。

 さらに農地から工業団地へと衣替えしたところでは、洪水が生じやすい。工場が建設され、周囲には舗装された道路が整備される。その結果、“裸”の土地が少なくなって、雨が地下に浸透していく量が減るからだ。降雨量は昔と変わらなくても、川に流れ込む水の量が増えて、氾濫しやすくなる。

 高度成長期の日本でも、急速に工業化や都市化が進み、川に流れ込む水の量が急増した。それにダムや堤防の建設が追いつかず、あちこちで洪水が起きた。タイをはじめとする東南アジアでは、当時の日本に比べても速いスピードで急激に工業化や都市化が進んでいる。海外から流入する資金が工業化や都市化に拍車をかけているからだ。

 その一方で、ダムや堤防などの治水のためのインフラの整備は遅れていた。だから、洪水の危険は高度成長期の日本よりも高くなっている。

地盤沈下しているバンコクの浸水は長期化する

 タイでは長期にわたってじわじわと浸水の被害が拡大している。それは河川の勾配が緩やかであるからだ。日本の河川は勾配が急なので、どんなに大きな川でも上流で降った雨は3日以内に下流の海に到達する。

 だが、これは日本に特有のことで、世界のほかの国・地域でも同じと思うのは誤りである。例えば、中国の黄河や長江も勾配が緩やかなので、上流で降った雨が海に達するまでに3カ月ほどかかる。その意味で、同様に勾配の緩やかな欧州のライン川やドナウ川で起こる洪水は「フラッド(Flood)」と呼ばれて流速は遅いのに対し、日本の川で起こる洪水は「フラッシュ・フラッド(Flush Flood)」で流速が速く、両者は違う。

 今年7月にチャオプラヤ川の上流域から始まった今回の洪水は、4カ月近くかけて首都バンコクにも広がった。バンコクの浸水は想像以上に長引くだろう。なぜなら、地下水のくみ上げによって地盤が沈下しているからだ。海抜よりも地盤が低いゼロメートル地帯が広がっているから、なかなか水が引かない。

 こうした水害のリスクが高いのはタイだけじゃない。タイと陸続きである周囲の国も同じだ。東南アジアに共通してリスクの高い災害は、地震よりも水害であることを忘れてはならない。

 この点では中国もリスクが高い。例えば多くの日本企業が進出している深センなどはもともと洪水が起きやすいところである。

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「タイ洪水で震災復興構想会議委員が示す処方箋」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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