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日本はTPPに何を求めるか?~参加は「目的」ではなく「手段」である

グローバル戦略を欠いた日本のTPP論争

2011年11月28日(月)

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 環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すべきかどうかが、日本で大論争になっている。菅直人前首相の時代、日本はTPP参加を「平成の開国」と位置づけた。野田佳彦首相はその意思を受け継ぎ、TPP交渉への参加を正式に表明した。しかし、政治家も評論家もTPPに参加した場合のメリットとデメリットを見極めきれていない。賛成論者は「TPPに参加しなければ、国際貿易のルールづくりに乗り遅れる」「日本の輸出製造業はさらに不利な立場に立たされる恐れがある」と主張する。それに対して反対論者は「アメリカの要求に応じて市場を開放すれば、日本の農業や皆保険などが崩壊する恐れがある」と応じる。

 ここで問題なのは、日本にとってTPPへの参加は「目的」ではなくて「手段」である、ということである。すなわち、賛成派は、TPPに参加することで何を得ようとするか、を明らかにする必要がある。一方、反対論者は、TPPに参加しない前提で農業をどのようにして強くするかのアジェンダを示す必要がある。TPPに参加しなくても、日本の農業は農家の高齢化が進み、ますます衰弱してしまう可能性が高い。

 賛成論者も反対論者もここで、日本は今後、何をもって立国するかを明らかにする必要がある。自動車や半導体といった製造業をもって立国するならば、その競争力を強化するための手段を示す必要がある。TPP参加はそのカギを握る。逆に、農業を生命線と位置づけ、それを何としても守る意向ならば、農業政策を根本から見直さなければならない。とにかくこのままでは、出口がないのは既に明明白白である。この意味でTPPは、日本が参加するにせよ、しないにせよ、日本の将来像を考えるよいきっかけになったと思う。

グローバル社会における日本の存在

 1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本経済は不況から抜け出すことができず、俗にいう失われた20年を経験した。その結果2010年、ドル建て名目GDPで中国に追い抜かれ、世界3位に順位を下げた。実は、グローバル社会における日本のプレゼンスは名目GDPが示す日本の「実力」よりもさらに大きく後退している。フォーブス誌が9月号において、アジア最優良企業50社を発表した。中国企業が23社、韓国企業が5社ランクインしたのに対して、日本企業はゼロだった。

 無論、フォーブス誌の企業評価結果に過剰反応する必要はない。だが、日本企業の総合的な競争力が急速に低下しているのは事実である。実は、グローバル社会で影が薄れているのは日本企業だけではない。国連、世界銀行、IMF、OECDなどの国際機関において、日本人スタッフの数は与えられた枠にはるかに及ばない。その結果、グローバル社会における日本の発言権は弱まる一方になっている。

 日本国内に目を転ずると、日本人の志向は想像以上に内向きになっている。テレビのニュース番組を見ても、国内ニュースが圧倒的に大きなウェイトを占める。海外で事件や事故が起きても、日本人の犠牲者がいないと判明すれば、すぐに追跡報道をしなくなる。その結果、国際社会の出来事に対する日本人の関心がますます後退してしまう。ちなみに、世界の主要国の中で、ニュース専門の地上波テレビ・チャネルを開設していない国は日本だけである。このまま行くと、日本は国際社会で完全に孤立してしまう。

 話をTPPに戻そう。仮に日本がTPPに参加した場合、日本にとって重要なのは、個別の産業にもたらされる利益または不利益ではない。1億3000万人の日本人の目を国内から海外へ向かわせること、だと考える。

問われる日中と日米関係のあり方

 振り返れば、小泉純一郎元首相の時代、その外交戦略は至ってシンプルだった。すなわち、アメリカとの関係さえ改善すれば、アジア諸国との関係も自ずとよくなる、だった。日米安保条約を軸とするこの考え方は、一定の合理性があるものの、日米関係を重視するあまり、アジア諸国の国民感情に対する配慮が欠けていたのも事実であろう。日本とアジア諸国の間には、歴史認識を巡る見解の違いがある。そこをあえて刺激しないのは得策ではないかと思われる。

 民主党政権が誕生した後、鳩山由紀夫政権は東アジア共同体の推進を基本方針として打ち出した。東アジア共同体構想は、安倍晋三前首相が打ち出したアジアゲートウェー構想と相通ずる部分が多い。問題は、その中身を明確にすることができなかったことにある。

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