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防衛産業の浮沈のカギ握る次期主力戦闘機選定(後編)

F-35を選べば戦闘機の国産政策は貫けない

  • 清谷 信一

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2011年12月1日(木)

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 航空自衛隊(空自)が現在、FX(次期主力戦闘機)の選定を進めている。これは旧式化したF-4EJの後継機だ。米ロッキード・マーティンが主となって開発中のF-35、米ボーイング社のF/A-18、欧州各国が共同開発したユーロファイターが主な選択肢だ。採用する次期主力戦闘機の機種によっては、我が国の戦闘機の製造基盤だけではなく、防衛産業基盤が揺らぐ可能性がある。F-35を選べば我が国の戦闘機製造関連企業にはほとんど仕事は落ちないし、技術移転も期待できないからだ。そもそも防衛省・空自には、FX選定に際して、防衛産業に関する方針がない。どう振興するのか? 独自の開発・製造基盤を維持するのか?

F-35が採用する技術の多くはブラックボックス

 我が国は戦後、戦闘機の国産を国策として、開発・製造基盤を整備してきた。ところが本命視されているF-35はブラックボックス化されている部分が多い。これを採用すれば国内企業が関与できる部分が少ないため、国内製造基盤が衰退する可能性が高い。

 F-35の共同開発パートナー国であるイタリアは、自国での組み立て生産を予定している。だが、重要部分は、イタリアに駐在する米国人技術者がイタリア人を排除して生産する。我が国が、開発パートナーであるイタリアよりも優遇されことは考えられない。

F-35を採用した場合、我が国のライセンス生産は絶望的だ。現段階では調達単価も明らかになっていない。米海兵隊などの大型顧客がキャンセルす れば単価は高騰するだろう。またステルス機ゆえの維持費の高さも心配される(提供:米空軍)

 調達機数も中途半端だ。ライセンス生産――多くのコンポーネントを国内で生産する――するのであれば、40~50機という調達機数は少なすぎる。部品の生産費が高くつき、ペイしない。この機数ならば、アセンブリー(ノックダウン)生産――コンポーネントのほとんどを輸入し、組み立てるだけ――にならざるを得ない。

 海上自衛隊(海自)の掃海ヘリ「MCH-101」や陸上自衛隊(陸自)の戦闘ヘリ「AH-64D」などはライセンス生産していることになっているが、実態はアセンブリー生産である。ともに機数が少ないため、調達単価は輸入する場合のおおむね2倍になっている。国内でコンポーネントをほとんど生産しないために、国内の下請け企業の仕事も確保できない。技術移転もほとんどない。潤うっているのは主契約企業だけだ。FXでも同じことが起こるだろう。

 40~50機を国内生産するのであれば、直接オフセットを前提とすべきだ。オフセットとは、発注先に対して「見返り」を要求するものだ。「間接オフセット」は、戦闘機を買う代わりに新幹線やりんごを輸入しろ、などというもの。対して「直接オフセット」は部品の自国生産を要求したりする。例えば尾翼と着陸脚は我が国で生産し、これらを我が国向けの機体だけでなく、今後生産するすべての機体に使用するというものだ。

 南アフリカは90年代に英国製のホーク練習機の導入を決定した。その際、ミッションコンピューターの供給などの仕事を獲得した。英国が使用する機体はもちろん、インドなどに輸出する機体にも南ア製のコンポーネントが使用されている。このような形でコンポーネントを生産できれば、生産するコンポーネントのコストを量産化によって削減できる。国内メーカーの仕事量も確保できる。

 直接オフセットを実行するため、本来であれば、武器輸出規制を見直すべきだ。ただし、現在の武器禁輸政策下でもコンポーネントの輸出は不可能ではない。MD(ミサイル防衛)同様に例外扱いすればよい。

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