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「原発=核兵器工場」説を検証する

国家にとっては軍事戦略的な意味がある

2011年11月30日(水)

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 原発事故を検証する非営利活動である「FUKUSHIMAプロジェクト」のメンバーであり、アーサー・D・リトルのアソシエート ディレクターである川口盛之助氏は、原子力発電所は国家にとって「軍事戦略的な意味」があると指摘。その根拠を述べる。

 原子力発電所の今後の「在り方」について、さまざまな場所で議論が交わされている。是もあり非もあり。私たち原発事故を検証する非営利活動である「FUKUSHIMAプロジェクト」でも、この議論を深めている。

 同時に、原発が普及してきた経緯についても検証を進めてきた。経緯が分からなければ現状は理解できず、それなくして未来は語れないからである。実際に、経緯について調べていくうちに、いくつかの重要な動機づけがあったことが分かってきた。今回はその中でも特に重要だと思われる原発の「軍事戦略的な意味」に焦点を絞り、分析を進めてみようと思う。

世界では原発は頭打ち

 図1は世界の原子力発電が毎年生み出してきた発電量と、全発電供給量に占める原子力発電の占有度の推移を示したものである。1950年代半ばに旧ソビエト連邦や米国、英国などで次々に導入された原子力発電システムは、60年代の萌芽期を経て70年代に拡大期を迎える。そして90年代には成熟期に入り、全体としては15%あたりで拡大が収束し今日に至っている。現在、原発を保有している国は全部で31カ国だが、一度保有したものの自ら封印し廃炉化した国はイタリアとカザフスタン、リトアニアの3国のみである。このうち、カザフスタンとリトアニアは、再度保有する計画なので、現状ではイタリアだけが、純粋に原発を放棄した国と言えるだろう。

 図を子細に見ると、成長過程で2度ほど足踏みをしている時間帯がある。ちょうど79年のスリーマイル事故と86年のチェルノブイリ事故の直後に符合。放射能漏れ事故によって原発建設を躊躇した表れとみることができる。しかしながら、これらの事故をもってしても大きな流れを揺るがすには至らず、全体としては粛々と拡大し続け、90年代以降の成熟期に至った。

出所:World nuclear Association

 ただ、原発の占有率は既に漸減傾向にあり、減ることはあってももはや反転して増える気配はうかがえない。

 次に、国ごとの内訳を見ていく。2007年時点における各国の全電力供給量に占める原子力の比率を比較した結果が図2である。棒の高さが原発占有率を示し、太さは各当該国の全供給量を表している。こうして見ると、1国で世界の電気エネルギーの20~25%近くを消費する米国は他を圧倒する太さであるが、原発依存率は2割程度にすぎない。大電力消費国の中ではフランスが飛び抜けて高いが、他の「先進諸国」、すなわち「そこそこ太い」国々は概ね15~20%の依存度となっている。

 それ以外の「細くて・高い」諸国とは、冷戦時代に原発を設営した東欧や旧ソ連といった諸国が大半で、当時導入した原発で十分間に合っているということだろう。この図で広い面積を示す国々は、中国やインドを除き、いわゆる先進諸国で、これらの地域におけるエネルギー消費は今後もさほど増えることはない。生活水準が十分なレベルに達しており、しかも今後人口が大きく増えることはなさそうだからである。

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「「原発=核兵器工場」説を検証する」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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