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イタリア公債も、10年前は約8割が国内消化だった

消費税を現状に据え置くと何が起こるか?

2011年12月1日(木)

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 ギリシャに始まった欧州危機が、ユーロ圏の国々に飛び火し、次第に混迷を深めている。

 現在、EU諸国は「共同債」発行をはじめとする様々な対応を検討しているが、事態は改善していない。11月下旬、ドイツ新発国債(10年債)の入札において、金融機関からの応募が調達予定額(60億ユーロ)を大幅に下回る異例の「札割れ」となった。これは「欧州危機がドイツも含めたユーロ圏全体に広がりつつある」ことを示唆している。

 同じ頃、欧州第3位の経済大国であるイタリアの国債利回りが再び7%を上回った。7%は、財政が持続不可能であると市場が予測する「危険水準」である。

図表1 一般政府(中央・地方政府+社会保障基金)の公的債務(対GDP)

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
日本 165.5 175.3 172.1 167.0 174.1 194.1 199.7 212.7
米国 61.2 61.4 60.8 62.0 71.0 84.3 93.6 101.1
英国 43.8 46.4 46.1 47.2 57.0 72.4 82.4 88.5
ドイツ 68.8 71.2 69.3 65.3 69.3 76.4 87.0 87.3
フランス 73.9 75.7 70.9 72.3 77.8 89.2 94.1 97.3
イタリア 117.3 120.0 117.4 112.8 115.2 127.8 126.8 129.0
カナダ 72.6 71.6 70.3 66.5 71.3 83.4 84.2 85.9

(出所)OECD (2011) "Economic Outlook 89"

 図表1に示した通り、イタリアは先進主要国の中で日本の次に公的債務(対GDP)が大きい国である。市場の標的になるリスクは極めて高い。さらに、イタリア国債の急激な利回り上昇の背景には、「欧州の清算・決済機関がイタリア国債取引の証拠金比率を引き上げた」(ロイター、2011年11月11日)ことがあるという説が根強い。市場の「怖さ」を物語る。

 このイタリアとの関係で、興味深いデータを提示したい。それは、イタリア公債の保有構造である(図表2)。

 この図表を見ると、10年前の1997年まで、イタリア公債は約8割が国内で消化されていたことが一目瞭然だ。つまり、この時点で、イタリア公債の海外保有割合は約2割にすぎなかった。しかし、その後の10年間で急速に海外保有割合が高まり、2011年には約4割にまで上昇している。

 「日本国債は95%が国内で消化されているから大丈夫」という議論がまだ根強い。だが、それは大きな間違いである。というのは、図表3(三菱東京UFJ銀行の試算)が示すように、社会保障・税一体改革が予定している5%の消費増税が実現しない場合、毎年約40兆円に及ぶ新発国債を国内のみで消化することは困難となるシナリオが想定できる。そうなれば、今後、日本でも、国債の海外保有割合が急激な勢いで上昇していく可能性がある。

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「イタリア公債も、10年前は約8割が国内消化だった」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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