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駐日豪大使が歓迎「日本の参加はTPP域内経済の規模拡大を促す」

「最も多くの品目を交渉に乗せた国が、最大の利益を得る」

  • ブルース・ミラー 駐日オーストラリア大使

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2011年12月5日(月)

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 野田佳彦首相が11月11日、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に向けて関係国と協議に入るとの方針を表明した。オーストラリアにとり歓迎すべき進展である。日本のTPP参加により、GDP比で欧州連合(EU)より約40%大きな規模の地域市場が出来上がる。日本及び関係国は経済成長の面で多大な利益を享受できる。

ブルース・ミラー駐日オーストラリア大使

 現在のTPP交渉参加国だけでも、世界の国内総生産(GDP)の4分の1を超える経済規模を既に有している。日本が参加すれば3分の1の規模へと拡大する。さらに、交渉参加に意欲を示すカナダ及びメキシコの参加が実現すれば、TPPの経済規模は世界のGDPの約40%を占めることになる。

 TPPが目指すのは、関税など貿易における障壁の撤廃を含む包括的で質の高い21世紀の協定である。域内での貿易障壁の撤廃は、企業による生産活動の効率性を大幅に向上させる。この協定は、今後参加国が増えるにつれ、アジア太平洋地域の成長をさらに促進することができる。長期的な目標は、アジア太平洋地域全体を包括する自由貿易圏の実現である。日本経済の活性化は、日本のみならず、オーストラリア及び地域に多大なる利益をもたらす。

 日本は既にオーストラリアの貿易相手国として上位3国の1つである。日豪貿易はわが国に、最大の2国間貿易黒字をもたらしている。その額は2010年に250億豪ドルに達した。日本からの投資はわが国の経済発展に欠かせないものとなっている。ブームに沸く資源部門だけでなく、製造業や農業においてもその影響は顕著である。さらに、両国の企業はオーストラリアの労働力をはじめとする国力と天然資源を生産の拠りどころとし、より広範な地域との貿易のために利用している。一例を挙げれば、トヨタ・オーストラリアは中東市場向けの自動車輸出において主要な地位を占めている。

自由化による輸入拡大が豪経済を成長させた

 貿易交渉の歴史を振り返ると、最も多くの品目を交渉のテーブルに乗せた国が、最大の利益を得ている。オーストラリアは自らの経験から、自国の経済を世界に向けて開放することがもたらす利益を認識している。1970年代、オーストラリア経済は世界で最も手厚く保護された経済の1つだった。歴代政府は「製造業自給率」とも呼ぶべき政策を掲げ、他国の方が安く製造できる製品であっても、すべて自国で製造することが不可欠と唱えた。このような障壁は大きな非効率性を招いた。この政策は産業を「保護する」どころか、革新や成長の足かせとなった。

 1980年代、オーストラリア政府は変動為替相場制の導入、金融市場の自由化、関税引き下げ、など一連の改革を行った。現在日本が貿易改革を議論しているように、当時オーストラリア国内でも議論が白熱した。「安価な輸入品の流入によってオーストラリア経済が壊滅する」と危ぶむ声も多かった。

 だが、結果は逆だった。安価な外国製品の輸入により国内産業は変革を迫られたが、多くの企業は専門家の予想より迅速かつ容易にその変化に適応した。再び自動車産業の例で説明しよう。海外からの自動車輸入はオーストラリアの国内市場に競争をもたらした。オーストラリア国内の自動車メーカーは特定分野に特化するとともに、より革新的な労働慣行を整備し、新規市場を開拓する意欲を高めた。事実、オーストラリアからの自動車輸出は、10年以上前には国内生産台数の1割未満だったが、今では3割を超えている。

 一方で、安価な工業製品の輸入は、第1次資源ブームよりはるか以前に、オーストラリア経済を成長させた。何より重要なのは、消費者の選択肢が広がり、より高品質で廉価な製品が手に入るようになったことだ。

日本農業の活性化は食料不足に臨む世界のため

 「日本はTPPが目指す野心的なレベルの開放を、とうてい成し得ない」という意見がある。私はそうは思わない。日本はこれまで多くの局面で、新しい状況を巧みに利用する能力を発揮してきた。世界屈指の洗練された技術と適応能力を誇る製造部門を作り上げてきた。その日本ならば、同じ革新の精神をもって、活気と国際的競争力のある農業を実現できる――こう信じることには十分な根拠がある。

 TPPに関する日本の決断は論理上、これまでの政策の延長線上にある。日本政府は2010年11月に「包括的経済連携協定に関する基本方針」を発表し、オーストラリアなどの主要国と経済連携を目指していくと述べた。さらに、2011年10月25日に「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を閣議決定。日本の農業を低関税の未来へと導く可能性を示唆する提言――1)農地の集積・規模拡大、2)農家と企業、消費者をより効率的に結びつけるサプライチェーンの導入など――を盛り込んだ。

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