• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

コトバの流行から探る「不祥事史」

遵守と統治を叫び続ける徒労

2011年12月6日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 筆者には、今年が「企業による不祥事の当たり年」のように思えてなりません。九州電力の「やらせ」メール問題、読売巨人軍のお家騒動、オリンパスの損失隠し問題、大王製紙・前会長の巨額借入事件などが話題になりました。

 不祥事の報道では、コンプライアンス(法令遵守)やコーポレートガバナンス(企業統治)といった経営用語がよく登場します。そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、コンプライアンスとコーポレートガバナンスという言葉が登場する新聞記事を分析。現代日本でどんな企業不祥事が起きてきたのかをたどってみます。

ココム事件で登場した「コンプライアンス」

 まずは「コンプライアンス」というキーワードから観察してみましょう。コンプライアンスは英語でcomplianceとつづり「要求や命令への服従」を意味します。

 また経営分野において、コンプライアンスは「企業による法令遵守」を意味します。これを企業コンプライアンスと呼ぶ場合もあります。「法令」だけでなく「モラル」の遵守も含めた概念である、と考える専門家もいます。

 では、企業コンプライアンスの概念が日本社会に定着したのはいつのことなのでしょうか。筆者が知る限り、日本でこの言葉が最初に流行したきっかけは、1987年に発覚した「東芝機械ココム違反事件」でした。

 ココム(COCOM:Coordinating Committee for Export Controls)とは、資本主義国から社会主義国に対する輸出制限の枠組みのこと(厳密には委員会名)。東西冷戦を背景に1949年に始まった制度で、冷戦崩壊を受け1994年に廃止されました。この制度にはNATO(北大西洋条約機構)加盟国の多くや日本などが参加していました。

 1980年代の前半、東芝機械は当時のソ連(技術機械輸入公団)に対して工作機械を輸出。その際、「原子力潜水艦用」の部品も製造できる工作機械を「発電機用」として輸出したのです。これが1987年に発覚したことから、当時の通産省(現・経産省)は同社に対して、社会主義国向けの輸出を1年間禁止する行政処分を下しました。

 ココム違反事件を契機に、通産省は輸出申請を行う企業に対して、その企業が独自に制定する「コンプライアンスプログラム」(法令遵守基本規定)の添付を要求するようになりました。これがメディアで報じられ、コンプライアンスという言葉が一般にも知られるようになりました。

第1期:金融機関の不祥事

 ではココム事件以降、コンプライアンスという言葉は、どのように露出機会を増やしてきたのでしょうか。

 例によって新聞の記事数を調べてみましょう。今回検索に使用したのは朝日・読売・毎日・産経の4紙(1993年以降の記事について検索可能です)。見出しまたは本文に「コンプライアンス」が登場する記事数について調べてみました。その結果を以下にグラフで示します。なお2011年の記事数は、2011年10月末までの記事数を元に単純計算で推計したものです。

 グラフによると、1990年代以降「コンプライアンス」の流行は主に3回訪れたことが分かります。最初の流行期は1990年代末期。記事数は年間で数十件のペースでした。2回目の流行期は2007年を中心とした時期。2007年中に1362件も記事が登場しています。3回目の流行期は現在(2011年)。推計では年末までに649件の記事が登場する見込みです。

 最初の流行期は、銀行や証券会社の不祥事が相次いだ時期でした。例えば1997年には当時の第一勧業銀行(現みずほ銀行)が総会屋へ利益供与していたことが発覚。また同年、山一証券が「飛ばし」(決算期の異なる企業間で含み損のある有価証券を転売する手法)による粉飾決算を行っていたことも発覚。山一証券は、翌年に自主廃業することになりました。これらの事件を報じる記事で、コンプライアンスという表現が頻繁に登場したのです。一連の事件を受けて内規を設ける金融機関も相次ぎました。

コメント1

「社会を映し出すコトバたち」のバックナンバー

一覧

「コトバの流行から探る「不祥事史」」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

誰もやらない領域を根気強く続けられるかが成功の秘訣。

田坂 正樹 ピーバンドットコム社長