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国民貯蓄と貿易収支の赤字が示す日本経済破綻のシナリオ

「双子の赤字」を回避するのに財政再建が欠かせない

2012年1月5日(木)

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 2011年は東日本大震災や福島原発事故が日本経済を襲い、欧州危機の再燃が世界経済を揺るがした。新年こそは明るい年になってほしい。しかし、懸念材料は尽きない。財政・社会保障の再生との関係で、日本経済の変調を表す2つのデータを指摘しおきたい。1つは、「貿易収支」の動き、もう1つは「国民貯蓄」の動向である。これらの数字の動向は、日本が、ギリシャのような「双子の赤字」(財政赤字と経常赤字)に直面し、日本経済の弱体化が進むことを示唆している。

2015年度以降、日本の貿易収支は構造的赤字に

 貿易収支について、経済産業省が2011年11月21日、国家戦略会議に対して提出した資料(日本経済のリスクシナリオ)は衝撃的である。

 図表1をご覧いただきたい。貿易収支(対GDP)の推移の「トレンド」(赤線、右目盛)を見ると、2015年度以降マイナスになっている。現状のままでは、日本経済は貿易赤字構造に陥る可能性がある。

 これまでも、数人の有識者が貿易赤字に陥る可能性を指摘していた。3.11の東日本大震災や昨今の円高は輸出を減少させる効果を持つ。原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電の増加は、燃料の輸入増をもたらす。しかし、政府がその可能性を指摘したのは初めてである。

国民貯蓄が急落しマイナスへ

 図表1と同様に、「国民貯蓄(対GNI)」の推移を年ごとにプロットしてみると、2009年からマイナスに陥っている。「国民貯蓄」は、民間貯蓄と政府貯蓄の合計から「固定資本減耗分」を除いたもの(純貯蓄)だ。

 2009年に国民貯蓄がマイナスに陥ったことは、「リーマン・ショック」の影響を強く受けている可能性も高い。この影響を取り除くため、国民貯蓄(対GNI)の1980年以降のトレンドを抽出し、図表2にプロットしてみた。リーマン・ショックの影響を除いても、2013年には国民貯蓄がマイナスに転落する可能性がある。

 国民貯蓄がマイナスに陥ってしまう理由は何か。

 これを考えるため、図表3を作成した。先に示したように「国民貯蓄=民間貯蓄+政府貯蓄-固定資本減耗」となる。それぞれの要素を年度ごとにプロットしたものだ。

 ここで「民間貯蓄」は家計と企業の貯蓄の合計をいう。「政府貯蓄」は、一般政府(国+地方+社会保障基金)における政府収入(例:税や保険料)と、社会資本整備といった政府投資以外の政府経常支出との差額を言う。基本的に「政府貯蓄=財政収支(政府収入-政府経常支出)-政府投資」であるから、政府貯蓄の赤字幅は赤字公債の発行額に相当する。

 「民間貯蓄」は1991年度、2001年度、2009年度とおおむね横ばいで推移している。「固定資本減耗」も1991年度を除いておおむね横ばいで推移している。これに対して「政府貯蓄」が大幅に悪化している。これが「国民貯蓄」をマイナスにしていることは一目瞭然である。

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「国民貯蓄と貿易収支の赤字が示す日本経済破綻のシナリオ」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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