「日本キラピカ大作戦」

「お手軽人工衛星」の大きな可能性

需要膨らむ「早い、うまい、安い」の三拍子!?

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2011年12月12日(月)

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 2008年8月に設立されたベンチャー企業、アクセルスペース。同社の事業内容は、宇宙利用に関するコンサルティング、そして、超小型人工衛星のトータルサービスである。超小型人工衛星の設計、製造から、打ち上げ、運用までを一手に引き受ける。

 超小型人工衛星の利点は、超低価格、超短期間で製造できることだ。同社では、超小型人工衛星を提供することで、「宇宙を利用してビジネスを展開したい」という企業を後押ししていきたいと考えている。

アクセルスペースの代表取締役の中村友哉氏

 「超小型人工衛星はインターネットに次ぐインフラとして、イノベーションを起こす可能性を秘めている。我々はその先駆者として、世界中の人々に新たな価値観を提供したい」

 こう語るのは、アクセルスペースの代表取締役、中村友哉氏だ。

 アクセルスペースは、宇宙工学者で東京大学大学院教授の中須賀真一氏と、東京工業大学大学院教授の松永三郎教授の研究室の卒業生が集まり、2008年8月に設立したベンチャー企業だ。現在、スタッフは総勢8人で、そのうち中村氏を含め6人が技術者だ。

 同社の事業内容は、宇宙利用に関するコンサルティング、そして、超小型人工衛星のトータルサービスである。超小型人工衛星の設計、製造から、打ち上げ、運用までを一手に引き受ける。

ヘリコプターを購入するよりも安価

 現在、地球の周りを回っている人工衛星の大きさは様々で、大型、中型、小型に分けられる。大型人工衛星の場合、大きさは一辺数メートルで、重量は数トンにも及ぶ。それに対し、アクセルスペースが手掛ける超小型人工衛星は、小型人工衛星よりもさらに小さく、一辺が約30センチメートル程度の大きさで、重量も10〜50キログラムしかない。

 そのため、例えば、大型人工衛星を製造するには、数百人の技術者、約10年の歳月、そして、数百億円の製造費を要するのに対し、アクセルスペースの場合、1機当たり、製造期間は約2年、製造費は大型人工衛星よりも2ケタ、小型人工衛星よりも1ケタも少ない1億〜2億円で済む。短期間で製造できるため、最新の技術を搭載できるという強みもある。製造にあたる技術者もほんの数人だ。実際、アクセルスペースでは、現在、たった6人で、同時に2機の超小型人工衛星を製造中とのことである。

 「ここまで聞いて、『宇宙利用なんて、自分には全く関係ない話だ』と思われている方も多いことだろう。しかし、ヘリコプターを購入よりも安価で人工衛星が製造できるとなれば、自社専用の人工衛星を使ったビジネスというのも十分検討の余地がある話ではないだろうか」。中村氏はこう語る。

 これまで宇宙と言うと、NASA(米国航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)など国家機関が中心で、非常に閉じられた世界だった。民間企業にとっては、「宇宙利用」、「宇宙ビジネス」といった発想すらなかったに違いない。しかし、中村氏らは、超小型人工衛星という安価で身近な“ツール”を提供することで、「宇宙を利用してビジネスを展開したい」という企業を後押ししていきたいと考えているのだ。

北極海周辺のモニタリングに

 中村氏はこう説明する。「そもそも大型、中型、小型人工衛星と超小型人工衛星とでは、その歴史が全く異なる。前者は、国家が中心となりトップダウン的に発展してきた分野で、一方、後者は、大学からボトムアップ的に発展してきた分野だ。特に、日本は、世界で初めて大学発超小型人工衛星の打ち上げ、運用に成功した国であり、現在でも、超小型人工衛星のパイオニアとして、世界的に高い評価を受けている」

 そのパイオニアが、取りも直さず、アクセルスペースのメンバーというわけである。

 そんな中村氏らが、超小型人工衛星をビジネスにしようと考えたきっかけは、大学院生時代にさかのぼる。民間企業としては、世界最大規模を誇る日本の気象情報会社であるウェザーニューズが、中村氏らが開発していた超小型人工衛星を使って、北極海周辺のモニタリングができないかと相談してきたのが始まりだ。

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著者プロフィール

山田 久美(やまだ・くみ)

 科学技術ジャーナリスト。都市銀行システム開発部を経てフリーに転身。月刊誌やウェブサイトでハードウエア、ソフトウエアのレビュー、IT関連の記事を多数執筆。2005年3月に技術経営(MOT)修士取得。現在はサイエンス&テクノロジー関連、技術経営関連の記事を中心に、執筆活動を行っている。研究者の研究内容を聞くのが最もワクワクする時間。希望ある未来社会を実現するためのサイエンス&テクノロジーの追求をライフワークにしている。Twitterアカウントはこちら



このコラムについて

日本キラピカ大作戦

 日本はCO2排出量の削減や高齢化、需要不足など、大きな課題に直面している。そのため、日本全体に閉塞感が漂い、希望ある未来社会が描きづらくなっている。しかし、これらの課題はいずれ世界のすべての国が直面するものでもあり、今の日本を「課題先進国」と位置づけることもできる。
 「これは日本にとって千載一遇のチャンスである」と言う東京大学総長室顧問で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏のインタビューを皮切りに、日本が世界をリードできる技術の最先端や“産声”を追う。エコ、スマート、シルバー…。日本にはサステナブルな社会を実現するためのピカイチ技術がたくさんある。これを存分に生かして、キラキラと輝く未来を創り出そう。

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