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日朝関係は“メンツにこだわらない”新展開の可能性

カギは、総書記などのポストを、いつ、どのように埋めるか?

  • 武貞 秀士

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2011年12月21日(水)

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 突然の死去であった。

 2011年12月17日の朝、金正日総書記が列車の中で心筋梗塞を起こして死去した。

 突然の死去だったので、一時、「謀殺事件ではないか」という話が出た。しかし、事件絡みの死去であれば、北朝鮮が公式に葬儀の日程を発表したり、特別放送で内外に公表したりすることはない。「特別放送」は、指導者が逝去したことを国民に知らせる放送に使用する言葉である。1994年7月、金日成主席が死去した時も「特別放送」だった。

 金正日総書記がずっと以前に死去していたのに、北が最近になってそれを発表したという可能性もない。指導者が死去した時に、北朝鮮が「死去していない」とか、死因について事実関係を隠したり、ウソの発表をしたりすることは考えにくい。カリスマのある指導者の健康状態や死去についてウソの発表することは北では許されない。罪になるからである。1994年に金日成主席が死去した時も隠すことはなかった。

 最近の金正日の動向は現地を視察することが目立ち、中国、ロシアを訪問する日程も強行軍であった。脳卒中の後、健康回復が著しいのはなぜかという議論さえ出ていた。長期間の外遊と国内視察の無理が体調に影響したということはあるだろう。心臓発作の予兆はなく、韓国、日本、中国にとっても、12月19日正午の特別放送は突然のものであった。北の指導者の健康状態については独占的な情報を握っているはずの韓国もその予兆を事前にキャッチすることは不可能だった。

12月19日、その時、韓国は

 12月19日、韓国では珍しく新聞の号外まで出た。この重大ニュースに接して、テレビは繰り返し特集報道を放送している。ただし、この一報に接して、韓国社会の緊張が高まることはなかった。ソウルの繁華街の風景はいつも通りである。韓国社会は戦争を意識することはなく、平静であった。

 金正日総書記の「この日」が来ることを予想していたからであろう。2008年8月の脳卒中の発作のあと、中国訪問や北朝鮮内での行事に際して金正日総書記の姿が映し出される度に、韓国は北の指導者の健康の急変を議論してきた。議論が尽きた感があるところに19日の特別放送であった。

 死去が発表されたその日、「1つの時代が終わった。次の体制は韓国に対してどのような姿勢を取るのか」に関心を移した。韓国の若い学生たちは、友人同士、スマートフォンで情報交換をしながら、北の指導者に関する記事を覗きこみ、談笑している。「北の指導者の急逝で戦争か」といった緊張感はない。

 韓国軍は当然、警戒のレベルを上げた。指導者の死去により、権力の空白が生じる可能性がゼロではないからである。「金正日が死去した時、内乱が起こる」といった見解があったし、中東では指導者の権威が下がった時に中東革命が起きている。軍の警戒態勢の強化はマニュアルに沿った当然の対処であった。韓国の一般国民の受け止め方と違いがあっても不思議ではない。

金正恩体制への継承はスムーズに進む

 金正日の三男、金正恩への権力継承はスムーズに行くだろう。「継承が可能だろうか」という議論自体が奇妙だ。

 特別放送が触れているように、継承は既に進んでいる。2010年9月、金正恩はすでに党中央軍事委員会副委員長に就任して、大将にもなった。10月10日の朝鮮人民軍の閲兵式には、金正日総書記と並んで閲兵して、朝鮮人民軍を指導する立場にあることをアピールした。金正恩が突然、大将になったことは、外部の目には「無理がある」と映ったが、北の住民がそれを不満に思い、体制批判を始める人々が増えたという話はない。

 金正日総書記と比較すると金正恩には人望がない、という話を脱北者が強調するのは当然だろう。食糧問題を解決できないのに大量破壊兵器を開発する今の指導者に不満を持つ人々が、後継体制にも絶望して脱北したのだから。

 重要なことは北にとどまり生活している「普通の人々」が北朝鮮に多く存在している事実である。今の金ファミリーの体制下で生活を向上させるためにどうすればよいか、を考えている人々が多数である、というのが現実なのである。

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