「日本キラピカ大作戦」

「潮の流れ」で電力を起こせ

プロペラ、タービン、橋梁、総力結集する川崎重工業

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2011年12月27日(火)

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 川崎重工業は2015年の商用化に向け、潮流発電システムの技術開発を加速している。潮流発電とは、潮の流れを使って、ブレードと呼ばれる羽根を回し、発電するシステムだ。風力発電とは異なり潮の流れは規則的であるため、安定的な発電量が見込める。また、水は空気に比べてエネルギー密度が高く、高いエネルギー変換効率も期待できる。

 同社では、今後、スコットランドのペントランド海峡での実証実験を予定しているほか、沖縄電力など共同で、沖縄の離島にも導入していく計画だ。

 「水のエネルギー密度は、空気の約800倍。流れの速さが同じであれば、潮流発電は風力発電の約800倍の電力を取り出せる計算になる」

 こう語るのは、川崎重工業・技術開発本部・技術研究所の下山敬次氏だ。

 潮流発電とは、潮の流れを使って、ブレードと呼ばれる羽根を回し、発電するシステムである。「風力発電システムが、海底に設置されたようなもの」とイメージすれば、分かりやすいだろう。

左から、川崎重工業の平松秀基氏、飯塚昌弘氏、有山房徳氏、下山敬次氏

 川崎重工業では、約2年前から、潮流発電システムの開発に着手しており、2011年10月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「海洋エネルギー発電システムの実証研究事業」の実施企業として採択されたのを機に、実用化に向けた技術開発を加速させている。

 風とは違って、潮の流れは規則的だ。太陽や月の影響により、1日4回周期で、定期的に流れの向きが変わる。また、地球上のどの場所にどのような潮流があるかについても、すべて明らかになっている。

 そのため、同じ自然エネルギーであっても、風力発電とは異なり、安定的な発電量が見込める上、最適な設置場所も明白だ。エネルギー密度が高いので、エネルギー変換効率も高い。それゆえ、現在、実用化に向けた実証実験が、世界各国で始まっている。

海洋エネルギー発電は3つある

 そうした中、自社の強みを最大限に生かせる分野として、技術開発に本腰を入れ始めたのが、川崎重工業だ。

 海洋エネルギーを利用した発電には、大きく分けて3つある。まず、波のエネルギーを利用して発電する「波力発電」、海水の温度差を利用して発電する「海洋温度差発電」、そして、海流や潮流を利用する「海流・潮流発電」である。川崎重工業が取り組んでいるのは、海流・潮流発電のうちの潮流発電の方だ。

 現在、海洋エネルギーへの取り組みに、最も熱心なのがスコットランドだ。スコットランドでは、1960年代後半に起こったオイルショックを機に、海洋エネルギーの活用に関する技術開発を開始した。しかし、1980年代に入り、北海油田の開発が盛んになったのに伴い、海洋エネルギーの技術開発は下火になってしまった。ところが、2000年代になり、地球温暖化対策が叫ばれる中、再び、海洋エネルギーに目が向けられるようになったのである。

 スコットランド政府は、2020年までに、電力需要の100%を再生可能エネルギーで賄う方針を打ち出しており、そのうちの10%以上を、海洋エネルギーで賄いたいと表明している。そのため、現在、実証実験場の提供や補助金の支給などを積極的に始めている。

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著者プロフィール

山田 久美(やまだ・くみ)

 科学技術ジャーナリスト。都市銀行システム開発部を経てフリーに転身。月刊誌やウェブサイトでハードウエア、ソフトウエアのレビュー、IT関連の記事を多数執筆。2005年3月に技術経営(MOT)修士取得。現在はサイエンス&テクノロジー関連、技術経営関連の記事を中心に、執筆活動を行っている。研究者の研究内容を聞くのが最もワクワクする時間。希望ある未来社会を実現するためのサイエンス&テクノロジーの追求をライフワークにしている。Twitterアカウントはこちら



このコラムについて

日本キラピカ大作戦

 日本はCO2排出量の削減や高齢化、需要不足など、大きな課題に直面している。そのため、日本全体に閉塞感が漂い、希望ある未来社会が描きづらくなっている。しかし、これらの課題はいずれ世界のすべての国が直面するものでもあり、今の日本を「課題先進国」と位置づけることもできる。
 「これは日本にとって千載一遇のチャンスである」と言う東京大学総長室顧問で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏のインタビューを皮切りに、日本が世界をリードできる技術の最先端や“産声”を追う。エコ、スマート、シルバー…。日本にはサステナブルな社会を実現するためのピカイチ技術がたくさんある。これを存分に生かして、キラキラと輝く未来を創り出そう。

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