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金正恩が「すぐには最高指令官になれなかった」ことが意味すること

喪が明けて半年以内に成果を上げないと軍と国民が離反する

  • 重村 智計

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2011年12月27日(火)

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 北朝鮮の金正日総書記が死亡した。2011年は、チュニジアの独裁者、ベン・アリ大統領の逃亡で幕を開けた。続いてエジプトの独裁者ムバラク大統領が退任に追い込まれ、リビアの独裁者、カダフィ大佐が殺害された。年の最後に、金正日総書記が消えた。2011年は、「独裁者の終わり」を告げる歴史的な年であった。

 北朝鮮は、12月19日に「金正日総書記死亡」を「特別放送」で明らかにした。ニューヨークタイムズ紙など欧米の新聞は「独裁者金正日が死んだ」と報じた。ところが、日本では読売新聞が「独裁17年」との見出しで、「独裁者の終わり」を報じただけだった。

 実は、日本の新聞やテレビが金正日総書記に「独裁」の見出しをつけたのは、これが初めてだった。欧米の新聞に比べ、日本のメディアは勇気がなかったのか。あるいは、金正日総書記へのインタビューという実現「不可能」な夢にこだわりすぎたのか。

 実は、金正日総書記の死は余りにも“絶妙”のタイミングであった。

 まず、平壌では多くの市民が「ようやく死んでくれた」と、ホッとした感情を抱いているという。死の直前に平壌から帰って来た在日朝鮮人が、北朝鮮市民の本心を筆者に語ってくれた。首都の平壌でさえ、電気は2時間しかつかず、停電ばかりだ。食糧の配給も中止され、ものすごい物価高に市民は悲鳴を上げている。労働者の月収は、高くても4000ウォン程度(日本円で3000円強)。これに対して物価は、タバコ1箱が2000ウォン、タマゴ4個が2500ウォンである。

 平壌の市民は、食糧を確保し生きるのに懸命だ。この在日朝鮮人は「いつ暴動が起きてもおかしくない雰囲気だった」という。後継者の金正恩氏について、市民はまったく関心がない。多くの人が、うまくやれると思っていないという。

 北朝鮮は、2012年の4月に故金日成主席の生誕100周年を祝う祭典を準備している。同時に、金正恩氏の指導者就任を祝う祭典も行う。このためには、金正日総書記が12月中旬までに死亡する必要があったようだ。3カ月の喪の期間が必要だからだ。

 朝鮮半島では、王様が死ぬと約3年の喪に服する伝統があった。金正日総書記は、3年間の喪に服した。しかし、さすがに今は3年の喪は実施できない。後継者や指導部は、3カ月の喪をするしかない。もし1月や2月に金正日総書記が死亡すると、4月の祭典に支障をきたす。このため、死去は絶妙のタイミングだったというのだ。

「特別放送」の意味を誰も理解しなかった

 10月20日以降姿を見せなかった金正日総書記の「専属女性アナウンサー」が、12月19日の「特別放送」で姿を見せた。これは、10月下旬頃から同総書記が危篤状態にあった事実を示唆している。いつでも発表できるように、女性アナウンサーに演出を指導し、待機させたのだ。北朝鮮が発表した「12月17日死亡」は事実ではないだろう。

 北朝鮮は、12月19日の午前10時に「正午に特別放送を行う」と放送した。新聞記者の友人が、筆者に連絡してくれた。「何だろうか」と聞かれ、うかつにも「党大会か、中央委総会か」と予測してしまった。

 11時頃に、平壌訪問から帰国したばかりの在日が、電話してきた。「特別放送は、これまで金日成主席死亡の時に1回行われただけです。後は、重大放送です。もしかしたら…」

 調べてみると、その通りだった。2000年に行われた金大中大統領との南北首脳会談の時は「特別重大放送」だった。「金正日死亡の可能性が高い」と思ったが、誰かに聞くわけにもいかない。もし、専門家や新聞記者に連絡して確認すれば、「金正日死亡」がたちまち一人歩きする。正午まで、待つことにした。

 新聞報道によると、内閣調査室は同じように判断し「特別放送と重大放送について、過去の事例を並べ官邸に報告した」という。だが、官邸の担当者は内容を十分に理解できなかったようだ。野田佳彦首相まで、伝わらなかったという。

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